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 バブル崩壊後の「就職氷河期」に安定した仕事に就けなかった人たちへの支援に向け、政府が重い腰を上げた。

 今後3年間で30万人が正社員になれるよう、官民で後押しするという。夏の参院選を意識しているのだろう。政府は近く公表する経済財政運営の指針「骨太の方針」に盛り込む。

 氷河期世代は、1993~2004年ごろに高校や大学を卒業した。現在の30代半ばから40代半ばに当たる。団塊ジュニアを含み、約1700万人と多い。うち400万人超は非正規雇用か無職である。

 社会に出るタイミングで人生が左右され、挽回が極めて難しい状況に置かれている。企業が最も新卒採用を抑えた00年に大学を出た尼崎市の40代女性もその一人だ。

 40社を受けたが、内定はゼロ。非正規で働きながら正社員を目指し、簿記などの資格を取った。だがリーマン・ショックで「派遣切り」に遭い、今はパートの事務職で働く。親の介護も加わった。「安定した仕事と家庭。人並みの幸せが遠い夢物語に感じる」と話す。

 新卒一括採用の雇用慣行も壁となり、挫折感から家庭にひきこもり社会との関わりを断つ人もいる。政府は規制緩和で派遣労働の対象を広げて問題を深刻化させる一方で、対策は後手に回った。その責任は重い。

 支援策の柱の一つが職業訓練だ。運輸や建設といった人手不足の業界団体を通じて就職に結びつく資格取得の短期訓練コースをつくる。専用相談窓口の設置や、正社員に採用した企業への助成制度も掲げた。

 これまでの施策を寄せ集めた印象が拭えない。正社員化の支援は大切だが、人手不足対策のような形ではなく、個々の適性を生かすことが重要だ。

 ひきこもりの人にとっては就労のハードルは高い。高齢の親と暮らし、社会的に孤立している場合もある。当事者の状況やニーズをくみ取り、きめ細かで息の長い支援が求められる。

 氷河期世代が現状のまま高齢になれば生活に困る人が増え、社会保障費が膨れ上がる恐れがある。自己責任論では何も解決しない。全世代の課題として向き合うべきだ。

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