社説

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 自動運転の車両が逆走して車止めに衝突する事故を起こした横浜市の新交通システム「金沢シーサイドライン」が、運転士による手動で運行を再開した。

 事故を受け、神戸市のポートライナーと六甲ライナーを運行する神戸新交通も、特別点検や運行監視の強化を始めた。無人運転の新交通システムは全国で7路線あり、いずれも駅や司令所と車両が情報を交信しながらコンピューター制御で運行する仕組みを採用している。

 国の運輸安全委員会は、原因調査を進めている。全国の新交通システムに共通する点があったのかも含めて徹底的に究明し、公共交通の安全向上につなげねばならない。

 事故は始発の駅で起きた。到着した車両に司令所が進行方向を切り替える指示を出し、車両側は了解の信号を発したが、指示とは逆の方向に動きだした。時速20キロ以上で衝突したとみられる。

 運営会社によると、車両側の回路で断線が見つかった。連結器などの状況から、5両編成の全車両でモーターが指示通り動かなかったようだ。指示がモーターに正確に伝わったかを確認する仕組みがなく、「システムに欠陥があった」としている。

 問題なのは、逆走した際に自動でブレーキがかかる仕組みがなかった点だ。

 鉄道の車両や保安機器、航空機などの設計は、トラブルがあっても安全を保つ「フェイルセーフ」の考え方に基づく。横浜のシステム設計に、この考え方が十分取り入れられていたのか疑問を抱く。

 人工知能(AI)の発達に伴い、自動車や鉄道の自動運転に関する技術は実証実験を行う段階にまで発達している。過疎地やニュータウンの移動に生かすなど、社会課題の解決策としても注目が高まる。

 一方で、システムが高度に、複雑になるほど、小さなトラブルや想定外の事象が大きなアクシデントにつながる可能性も高まってくる。

 実用化に向けて前のめりになるだけでなく、万が一の事態が起きてもいかに安全を確保するか。そうした視点で、自動運転の実験や研究を総点検してもらいたい。

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