社説

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 北方領土へのビザなし交流訪問の際、戦争で領土を奪還することの是非に言及した丸山穂高衆院議員=日本維新の会を除名=に対して、直ちに進退判断を促す糾弾決議を衆院が全会一致で可決した。国会議員に対する糾弾決議は初めてだ。

 「戦争をしないと、どうしようもなくないですか」という元島民への質問は、憲法9条が定める戦争放棄の理念を踏みにじるものだ。長年かけてロシア人住民と元島民が築き上げた友好関係をないがしろにした上に、ロシアとの関係にも影を落としかねない。

 訪問先で酒に酔って禁止された外出を試み、下品な発言を繰り返すなど問題行動も起こした。国会議員として、社会人としての資質に欠けている。

 糾弾決議に強制力はない。しかし与野党が一致して「議員不適格」の烙印(らくいん)を押したことを重く受け止めて、直ちに辞職するべきだ。

 丸山氏は言論の自由を根拠に、自らの発言を正当化している。決議案に対しても文書で「人民裁判」と反論した。

 自由の意味を、はき違えているのではないか。憲法が保障するのは、国民に対する国の検閲や弾圧を禁じるのが趣旨だ。武力行使の容認を国会議員が国民に迫るような言動を、擁護できないのは明白である。

 丸山氏の発言が明るみに出た直後、野党は辞職勧告決議案を提出した。一方、与党は「議員の身分に関わることは慎重に」と、けん責決議案にとどめた。そのままの状態が続けば、会期末に両決議案とも廃案になるところだった。

 その後、数々の問題行動も公になり、与野党は糾弾決議案提出で折り合った。国会が毅然(きぜん)とした姿勢を示さなければ、国民は政治不信をいっそう募らせただろう。

 国会議員は「選良」とされる。識見や実行力にとどまらず、国民が信頼を寄せるに足る優れた人格を求められるからだ。

 参院選が近づき、ダブル選も意識して各党の候補者の顔ぶれが固まりつつある。「選良」にふさわしい人物を擁立し、有権者がその訴えを冷静に判断することが、政治への信頼を取り戻すために欠かせない。

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