社説

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 テレビ番組のインターネット常時同時配信が実現すれば、視聴者は番組放送と同じ時刻にスマートフォンやパソコンで番組が視聴できる。

 今国会で改正放送法が可決、成立し、NHKによるネット同時配信が可能になった。東京五輪の聖火リレーが始まる来年3月をめどに始める方針だ。

 「若者のテレビ離れ」が指摘される中、NHKは同時配信を「放送の補完」と位置づける。同時配信は海外で実施され、避けて通れない課題である。

 とはいえ、公共放送と民放が補い合って国民の「知る権利」に応えるのが、放送事業のあるべき姿だ。「公共放送」とは何かという議論を抜きにした、安易な肥大化は許されない。

 NHKは放送メディアの中でどんな役割を担うのか、まずは国民に丁寧に説明すべきだ。

 受信料収入が年間7千億円を超え、1千億円超の繰越金を持つNHKは、国内最大の放送事業者だ。受信料の支払いが視聴者の法的義務とされる一方、国民に対して「知りたいこと」「知るべきこと」をきちんと伝える責任がある。

 旧放送法では、災害報道や一部スポーツ中継を除き、NHKによる同時配信は制限されていた。圧倒的な経営基盤と技術力で民放を圧迫しないためだ。

 だが、今回の法改正により配信の実施が容認された。10月の消費税増税時に受信料を据え置き、来年10月に2・5%値下げする方針を示したことが功を奏したとされる。

 ただ、改正放送法は、同時配信の内容や費用に関する基準の策定と公表をNHKに義務付けた。民放経営への影響を緩和する措置で、基準を守らなければ総務相が順守を勧告できる規定も設けている。

 当面、受信料契約を結ぶ人は同時配信を負担なく視聴でき、未契約の場合は契約を促すメッセージが出る仕組みとする。テレビ離れが進めば、ネットだけで視聴する人の負担についても議論を迫られるだろう。

 同時配信は民放も実施を検討している。NHKは先行実施の成果や技術を独占せず、民放に提供して共存の道を探らねばならない。独り勝ちは「公共」への信頼を損なう。

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