社説

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 スポーツの強豪校として知られる尼崎市立尼崎高校の体罰について調査している市教育委員会が、生徒、教員、保護者を対象にした緊急アンケートの結果を公表した。

 全校生徒955人のうち917人が回答し、34人が「体罰を経験した」と答えた。「他の生徒の体罰を見聞きした」は73人に上った。全教員70人のうち5人は「体罰をしたことがある」と回答した。

 体罰は人権侵害だ。学校教育法で禁じられ、繰り返し根絶が叫ばれてきた。にもかかわらず、勝つためには暴力を容認する「根性主義」がはびこっている実態が浮き彫りになった。強い憤りを禁じ得ない。

 調査の発端は、男子バレーボール部での体罰だ。部員が平手打ちされ、失神した。さらに硬式野球部でも体罰が明らかになった。調査ではこのほか四つの部活動で体罰があったとの指摘が寄せられた。

 市立尼崎高は1学年が約320人。このうち80人の体育科は推薦入学で兵庫県全域から優秀な選手を集めている。体罰発覚後の会見で校長は「部活動を顧問に任せきりにしてしまった」と釈明した。

 男子バレー部は全国屈指の強豪だけに、指導者にものが言いにくい雰囲気があったのではないか。管理責任の観点からも、さらなる検証が待たれる。

 スポーツは青少年の生きる力を育み、思いやりや協同精神、公正さや規律を尊ぶ人格を形成する-。日本体育協会などが2013年に出した暴力行為根絶宣言の一文だ。

 いま一度、こうしたスポーツの意義を社会で再確認したい。再発防止には指導者への啓発や研修が不可欠だが、それだけでは限界がある。部活動が過熱する要因とも指摘される大学のスポーツ推薦制度の在り方についても検討の余地があるだろう。

 全国大会レベルの部活動の指導者は、選手の進路に強い影響力を持っている場合が多い。生徒も保護者も、大学への推薦に影響が出ることを恐れて問題を訴えにくい構造がある。

 生徒の「強くなりたい」という気持ちにどう応えるか。体罰を再生産しないためにも、腰を据えた議論が必要だ。

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