社説

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 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の候補地を巡り、秋田市の陸上自衛隊新屋演習場を「適地」とした防衛省の調査に誤りがあったことが明らかになった。

 調査は、ほかに適地がないかを検討する目的で、東北地方の国有地19カ所が対象となった。このうち9カ所で、山を見上げたときの角度を示す「仰角」の数値が過大に記載されていた。実際は4度しかないのに15度と記された地点もあった。

 防衛省はレーダーの電波を遮る高い山があるとして「新屋以外は不適」と結論付けたが、その根拠が揺らぎ、判断の信ぴょう性は失われたことになる。

 秋田県の佐竹敬久知事は「議論は振り出しに戻った」と表明した。防衛省は配備計画を撤回し、見直すのが筋だろう。

 地上イージスは、北朝鮮のミサイル脅威に対抗するため政府が2017年に導入を決めた。新屋演習場と山口県のむつみ演習場が候補地とされている。今回の問題で山口県でも防衛省への不信感が高まっている。

 ミスの原因は、標高と距離から仰角を計算する際、縮尺が異なるデータを使ったためという。にわかに信じがたいが、ミスに気づかぬまま、山の高さが強調された断面図を作製し報告書に記載していた。

 防衛省は、数値を修正しても判断は変わらないとする。

 はじめから新屋への配備ありきだったのではないか。安易な調査方法といい、ずさんなデータ処理といい、そう疑われても仕方がない対応だ。

 ミスを指摘した地元紙の報道がなければ、誤った根拠に基づいて配備が進められていた可能性がある。防衛省は責任の重大さを深く自覚すべきだ。

 ところが、発覚直後の住民説明会で防衛省職員の居眠りが目撃され、住民の怒りを買った。候補地周辺には住宅が密集し、学校も近い。有事には攻撃対象になる恐れもある。住民の抱く不安に真剣に向き合おうとしない姿勢は目に余る。

 適地の判断は妥当なのか。そもそも地上イージスは本当に必要か。防衛省は配備ありきで計画を進める前に、こうした疑問に丁寧に答え、信頼回復に努めねばならない。

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