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 安倍晋三首相がイランを訪れ、ロウハニ大統領、最高指導者ハメネイ師と相次ぎ会談した。トランプ大統領からの要請もあり、軍事的な緊張が高まる米国との衝突回避へ向けて「橋渡し役」を務めるためだ。

 対立が深まったきっかけは、昨年5月に米国がイラン核合意から一方的に離脱し、経済制裁を再開したことだ。核合意がイランによる核開発の歯止めとなってきた。今回の訪問は唯一の被爆国の指導者として率先して果たすべき使命といえる。両国と友好関係を持つ点からも取り組む意義は大きい。

 ただ、その役割を十分に果たせたかは疑問だ。米国との対話を促した安倍首相に対し、ハメネイ師は「米国を信用していない」などと述べ、事実上拒否した。長らく敵対する国同士による対話実現の難しさが改めて浮き彫りになった。

 一方で、ハメネイ師は首相に「核兵器を製造も、保有も、使用もしない。その意図もない」と語った。ロウハニ師は、米国による原油禁輸制裁の停止要求をトランプ氏に伝えるよう依頼した。イランは制裁で経済的に深刻な打撃を受けており、着地点を探る本音が見て取れる。

 今度は首相がトランプ氏にイランの真意を伝える番だ。日本も対象となっているイラン産原油禁輸措置の早期撤回を求め、軍事的な圧力も弱めるよう説得する必要がある。困難は予想されるが、粘り強く両国の仲介役を続け、緊張緩和につなげていくべきだ。

 最優先すべきは核合意の維持である。2015年の締結以降、中東の安定に道を開いてきたが、現在はイランと英仏独中ロの5カ国で辛うじて保たれている。トランプ氏に核合意への復帰を改めて説くのも首相の重要な役割といえる。

 イランは先月、核合意の履行を一部停止する方針を表明した。国際社会は合意順守を求めていることを認識すべきだ。

 何よりも軍事衝突は絶対に避けねばならない。安倍首相の訪問中にも、ホルムズ海峡近くで日本などのタンカー2隻が攻撃された。中東情勢が緊迫する今こそ、日本は欧州各国などとも連携し、早期に対話の道筋を付ける役割を果たすときだ。

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