社説

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 政府が農業白書で、ロボットや人工知能(AI)などを活用する「スマート農業」を取り上げた。人工衛星による位置情報を利用した自動走行トラクターやドローンによる農薬散布などを紹介し、省力化・効率化の切り札としている。

 スマート化は、農業・農村の課題解決や魅力向上のための重要なテーマだ。しかし、白書で取り上げたような高価な機械とサービスが導入できるのは、条件が恵まれた大規模農家や法人だけだろう。内容が大規模化関連に偏っており、多くを占める中小規模の農家や新規就農者にはメリットは乏しい。

 多様な担い手の支援と自立につながる発想や技術に目を向けねば、持続可能な農業・農村のための施策は描けない。

 エネルギーの視点が欠けているのは大きな問題だ。

 「スマート」という言葉は本来、自然エネルギーを賢く活用する意味で使われている。農山漁村には自然エネルギー資源が豊富にある。化石燃料に大きく依存する農林水産業の構造を変えるために、自然エネルギー利用を広げることを「スマート化」の基本とすべきだ。

 地方では、農村の課題からヒントを得た新しい技術が、中小企業と自治体、農家との連携によって生まれている。

 例えば、兵庫北部で普及する太陽光発電の水やり装置は、夏の過酷な作業から多くの農家を解放している。晴れたり曇ったり変化する日照をそのまま野菜が求める水量のコントロールに生かしたシステムで、価格の安さと収量の向上から人気だ。

 棚田の大きなのり面を生かす防草発電シートや、水路の小水力発電など使えるエネルギーは豊富にある。それを電気自動車の軽トラックに使うシステムなどは、農業・農村を大きく変えるスマート技術となる。

 暮らしと農業にかかる光熱費を減らし、余剰の自然エネルギーを外部に供給することで地域経済は活性化し、農産物や加工品のブランド力も高まる。

 農村移住を考える人は、安全な食や地球温暖化など環境への意識が高い人が多い。自然エネルギー技術の普及が、農業と農村の魅力を高める担い手を増やすためには欠かせない。

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