社説

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 安倍晋三首相と野党4党首による今国会初の党首討論が開かれた。昨年6月以来の直接対決の場だったが、消化不良に終わったと言わざるを得ない。

 時間の制約のせいばかりではない。野党は、老後に2千万円の蓄えが必要と試算した金融審議会の報告書を材料に年金問題に絞って追及した。首相は正面から答えず、制度の説明や実績アピールに時間を費やした。これではどれだけ時間があっても議論は深まらない。

 党首討論について首相は「歴史的使命を終えた」との見解を示しているが、まずは自らの姿勢を改めるべきだ。

 立憲民主党の枝野幸男代表は報告書を巡り「安心ばかり強調して不安に向き合わない姿勢に国民は怒っている」と批判した。受け取りを拒否した麻生太郎副総理の対応について国民民主党の玉木雄一郎代表は「行政のガバナンスが衰える」と断じた。当然の指摘である。

 これに対し首相は、報告書のデータは平均値にすぎず「生活実態は多様だ」とかわした。さらに安倍政権の6年間で民主党政権時代と比べ年金積立金の運用益が増えたなどと主張した。

 批判に耳を貸さず、都合のいいデータを持ち出して論点をすり替える。不都合な事実を隠す、改ざんする、なかったことにする。森友・加計学園問題などでも指摘された政権の姿勢が国民の不信を高めている。その点を首相が自戒しない限り、国民の安心と信頼は得られない。

 首相は衆院解散について「頭の片隅にもない」と述べた。衆院議員の任期は折り返しにも達していない。これ以上解散をちらつかせて政局をもてあそぶべきではない。国民に語るべきことはほかに山ほどある。

 調査ミスが発覚した地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備計画の妥当性や、消費税率引き上げの是非が改めて問われる。日米貿易協議、北朝鮮情勢、日ロ交渉の展望、首相のイラン訪問の評価など外交面の難題も多い。

 国会会期末まで1週間ある。野党の要求に応じ、衆参の予算委員会を開いて首相が丁寧に説明すべきだ。参院選を前に与野党で議論を深め、有権者に判断材料を示す必要がある。

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