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 日本の植民地時代に労働を強いられた韓国人元徴用工らが起こした賠償訴訟を巡る問題で、日韓の距離が縮まらない。

 今月末に大阪で開かれる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が出席する。本来なら安倍晋三首相との首脳会談で打開策を探る好機だが、明確な対応を示してこなかった韓国に反発を強める安倍政権が応じる気配はない。

 このまま泥沼化すれば、歴史認識の対立は解決が難しくなる。米国も含めた安全保障の連携にも影響が及ぶだろう。

 ボタンの掛け違えを解消するには、負の歴史を克服する道を共に探し続けるしかない。まず韓国が、もつれた糸をほぐす熱意と知恵を示すべきである。

 植民地時代に製鉄所や炭鉱などに動員された元徴用工は、韓国政府の認定で約15万人とされる。本人や遺族の訴えを受けて韓国最高裁が昨年秋、日本企業に賠償を命じる判決を相次いで出し、資産の差し押さえや現金化の動きが進んでいる。

 ただ、この問題は1965年の日韓請求権協定で「解決済み」とされてきた。韓国側も日本が支払った無償資金を「強制労働の補償」とみなしてきた。

 十分な補償を受けていない元徴用工らの救済は、協定の当事者である韓国政府が責任を持つべき課題といえる。事態を静観する文政権に、日本政府がいら立ちを募らせたのも当然だ。

 とはいえ、もともと日本の植民地政策に端を発する問題で、北朝鮮との間でもいずれ議論される可能性がある。日韓で早期解決を図らねばならない。

 判決を受け、日本政府は協定に基づく仲裁委員会の開催を求めている。日韓で委員の人選を目指したが、韓国側が期限内に回答しなかったため、第三国に委ねる方式を模索する。

 ここにきて韓国政府が日韓両国の企業の出資で賠償の財源をつくる案を提示した。だが韓国内でも「被害者の声を反映していない」との批判の声があり、唐突な印象は否めない。

 従来の政府方針と異なる最高裁の判断を踏まえて、韓国はどのような決着を目指すのか。日本の対応にばかり委ねず、未来志向の日韓関係について自ら語る責任が、文氏にはある。

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