社説

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 政府が、子どもや高齢運転者の交通安全に関する緊急対策を決めた。東京・池袋で母子が死亡した車の暴走事故や大津市で保育園児が死傷した事故を受け、各省庁で検討してきた。

 保育施設周辺の対策では、園児らの安全に配慮した「キッズゾーン」の新設に向け、今秋をめどに一定の方針を示す。

 高齢者向け対策では、急加速を抑制する装置の性能認定制度や限定免許制度の検討を急ぐことを盛り込んだ。

 ただ、対策は既存事業の拡大や各省が進めてきた民間技術の活用が中心だ。有効性などを巡り有識者の意見が分かれ、技術への過度の期待を懸念する指摘もある。客観的なデータを基に効果を検証する必要がある。

 こうした対策は重大事故が起きるたびに重ねられてきた。だが、子どもや交通弱者が犠牲になる事故は後を絶たない。

 重要なのは、日本が先進国でも際立った「歩行者軽視社会」であるという現実に、まず向き合うことだ。車優先のまちづくりから生じる事故の構造を知り、社会全体で変えようとする意識改革が欠かせない。

 2017年の交通安全白書は交通事故死者のうち歩行者の割合が非常に高いことをデータで裏付けた。米、独、仏など他の先進国が15%前後なのに対し、日本は37・3%と突出している。新しい事故防止技術などを検討する前に、目を向けねばならない多くの問題があることを示している。

 歩行者を守る視点で柵の設置や道路幅に比べて狭い歩道幅の見直しなどハード面の改善を進める。繁華街など人が多い場所での車の進入制限などはすぐにでも実施すべきだ。

 運転意識などのソフト面の対策も要る。日本自動車連盟(JAF)の全国調査では、歩行者がいる横断歩道で一時停止する車は8・6%だけだった。一方で長野県では58・6%あるなど地域によるばらつきもみられた。これらを分析してマナー向上に生かす必要がある。

 人が多い交差点や道路では不測の事態に備えて減速する。誰もが加害者にならないため、免許教習や更新時講習などでの基本的な運転マナーの徹底も地道に進めていかねばならない。

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