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 政府が経済財政運営と改革の指針である「骨太方針」を閣議決定した。

 参院選を前に、就職氷河期世代への集中支援や最低賃金の引き上げなど雇用や所得の底上げに手厚い施策が並んだ。しかし、社会保障を中心に国民の負担増を伴う改革にはほとんど踏み込まず、骨太とは程遠い。

 骨太方針は、2001年の小泉純一郎首相が始めた。当初は国債発行枠の上限設定や郵政民営化など、政権が反発を覚悟で改革の意思を打ち出してきた。

 ところが回を重ねるにつれ小粒になり、いまでは各省庁が進めたい施策を羅列する場に様変わりしつつある。

 今回、特に目についたのは社会保障改革の先送りだ。

 老後に2千万円の蓄えが必要とした金融庁報告書で、国民は改めて年金制度への疑問や不信を募らせている。骨太方針は、年金と介護について「必要な法改正も視野に19年末に結論を得る」とした。

 年金は今年が5年ごとの財政検証の年であり、介護保険制度の見直しは来年予定されている。これらを受けて対策を講じるのは既定路線にすぎない。

 医療を含む社会保障全般の改革を「20年の骨太方針で」とわざわざ予告したのも、参院選前に給付削減と負担増につながる議論を避ける狙いだろう。

 安倍政権が掲げる最低賃金1000円への引き上げは、目標達成を「より早期に」と意欲を示した。生活底上げにはつながるが、負担するのは企業である。中小企業が引き上げに耐えられる経済状況を実現させるのが先決だ。

 10月の消費税率引き上げ方針を明記し、25年度に財政健全化を達成するとの目標は堅持した。一方で、増税の影響を踏まえた景気対策を20年度予算編成でも実施すると明言した。

 ポイント還元やプレミアム付き商品券など、19年度の景気対策は2兆円に達する。来年も対策を打てば増税効果は薄まる。これで財政健全化の目標が達成できるのか理解に苦しむ。

 耳の痛い議論は後回しにし、ばらまきを繰り返す政権の体質は一向に変わらない。改革はまず、そうした姿勢を改めるところから始めるべきだ。

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