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 不規則発言で物議を醸すトランプ米大統領が、今度は日米安全保障条約について「あまりに一方的だ」と批判し、条約の破棄にまで言及したという。近しい人物との会話で述べたと、米国の通信社が伝えた。

 私的な会話であり、米政府は公式には認めていない。だが事実とすれば、現職大統領の発言としては一線を越えており、無視できない。

 何より重大なのは、米軍基地提供など日本側の負担の重さを一切考慮せず、事実誤認に基づいていることである。

 トランプ氏は大阪で始まる20カ国・地域首脳会議出席のため来日し、28日に安倍晋三首相と会談する。首相は本人の認識を問いただし、不用意な発言を慎むよう求めるべきだ。

 記事によると、発言はトランプ氏が信頼する人物3人との会話で飛び出した。

 安保条約では、日本が武力攻撃を受けた場合、米国は防衛に当たる。日本には米国を防衛する義務はない。トランプ氏はその点を「不公平」と指摘し、破棄を口にしたとされる。

 さらに「沖縄の巨大な米軍基地」の移設についても、「土地収奪」と見なして日本側に賠償を求める考えを示した。普天間飛行場の辺野古移設を指しているとみられ、基地の土地評価額は1兆円との見方も示した。

 過去の経緯や協議を一切踏まえず、それこそ「一方的」で乱暴な言動というしかない。

 日本は米軍に基地を提供し、毎年2千億円近い「思いやり予算」を負担している。本年度予算の在日米軍関係経費は5800億円を超える。

 米軍は基地を拠点にして、アジア・太平洋地域に広く展開している。日本は米国の世界戦略に協力しているのが現実だ。

 普天間の移設も基地負担軽減を図る方策として、日米で練り上げた計画である。それでも沖縄県民の理解を得られない現実にこそ目を向けるべきだ。

 トランプ氏は「強固な同盟関係」を強調する一方、日本に対して米軍経費の負担増を求めている。安保で揺さぶりをかけて貿易交渉を有利に運ぶ狙いもあるとすれば理不尽だ。「トランプ流」の戦術に政府の毅然(きぜん)とした対応を求めたい。

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