社説

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 安倍晋三首相が、20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)のため来日した中国の習近平国家主席、米国のトランプ大統領と相次いで会談した。

 習氏とは、日中関係が一時の対立状態から「正常な軌道に戻った」と確認し合い、来春に国賓として迎える方針でも一致した。トランプ氏とは、イランや北朝鮮への対応で連携していくことなどを強調した。

 自由貿易などを巡ってサミットで米中の意見が激しく対立するのは確実なだけに、このタイミングで米中との親密さをアピールするのは議長国としても得策との計算がうかがえる。

 だが米中と日本の間には、多くの問題が横たわる。真の関係改善のためにはそれらを避けて通ってはならない。

 日中関係が悪化する一因となった尖閣諸島問題は、いまだ根本的な解決に至っていない。一方、米国は対日貿易赤字を問題視し、トランプ氏は日米安保のあり方にまで言及して日本に揺さぶりをかけようとしている。

 首相は両氏との会談で、これらの難問を事実上棚上げした。世界的に批判を集める香港の大規模デモに関しては、習氏に香港を名指しして一国二制度の維持を求めたが、市民の猛反発を浴びている逃亡犯条例改正案の撤回までは求めなかった。トランプ氏にも、安保発言の真意をただそうとしなかった。

 参院選を控えて外交面で得点を稼ぐため、不協和音を表面化させたくないとの意図も見える。だが、日本の姿勢を内外に示すために、もっと踏み込むべきではなかったか。

 そもそも習氏が対日姿勢を急速に軟化させたのは、米国との貿易戦争を意識して日本との関係にくさびを打ち込む狙いがあるとされる。一方、トランプ氏は同盟関係や交流の歴史を軽視し、日本をビジネスの対象としか見ていないようにも映る。

 3首脳は笑顔で会談に臨んだが、その裏にあるのは友好ではなく打算ではないか。実際はどちらとも不安定な関係しか築けていないとも受け取れる。

 両大国の間に割って入り、問題点をただして対立関係の収束へと導く。首相はそうした気概を持ってサミットにも臨んでもらいたい。

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