社説

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 親子関係にかかわる民法の見直しを、山下貴司法相が法制審議会に諮問した。

 論点は大きく二つ。親が教育などのために必要な範囲で子どもを戒めることができる「懲戒権」と、無戸籍の子どもを生じさせる主な要因となっている「嫡出推定」をどうするか、という点である。

 いずれも明治時代からの民法にある古い規定だ。今の時代にそぐわない部分があれば見直すのは当然だろう。子どもにとって何が最善かという視点に立ち、議論を深めてほしい。

 まず早急に削除するべきなのが、懲戒権である。

 先ごろ、親の体罰を禁止する改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が成立した。相次ぐ虐待死事件がきっかけだ。これに伴い、来春の法施行後2年をめどに懲戒権のあり方を検討することになった。

 「削除すれば必要なしつけすらできなくなる」との慎重論は根強い。しかし懲戒権を残したままでは、しつけを名目にした体罰を容認することにもなり、矛盾が生じる。

 1979年に体罰を全面禁止したスウェーデンでは脱・体罰が浸透するまで40年を要した。日本でも体罰に頼る子育てとの決別を明確にするとともに、育児に悩む親への息の長い支援が欠かせない。

 嫡出推定は「婚姻中に妊娠した子は夫の子」「離婚後300日以内に生まれた子は元夫の子」と見なす規定である。

 父子関係をできるだけ早く確定させて子どもの利益を守るのが本来の狙いだが、無戸籍者を生む結果になっている。

 例えば家庭内暴力を理由に夫と別居し、離婚成立前に別の男性との間に子どもを出産した場合、夫が法律上の父となるのを避けるため出生届を出さないケースがある。

 神戸市では、こうした経緯で無戸籍となった子が社会生活上の不利益を受けたとして母親が国に損害賠償を求めたが、一、二審とも敗訴している。

 今はDNA鑑定で親子関係を確認できる。明らかに社会の実情と合っていない。新たな無戸籍の子どもを出さないためにも嫡出推定は撤廃するべきだ。こちらも急ぐ必要がある。

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