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 視覚障害や発達障害などのある人が読書しやすくなる環境を整える「読書バリアフリー法」が、先の国会で成立した。

 音声読み上げや文字拡大など電子書籍の機能を使えば、文字を読むのが不自由な人でも本に親しめる。点字図書も含めた多様な「書籍」の普及を進め、活字文化に接する際の壁をなくすのが、この法律の目的だ。

 兵庫でも県立や神戸市立の点字図書館、各市の公立図書館などを中心に、障害に配慮した書籍の利用が広がりつつある。法の成立を受け、蔵書の充実や利用促進に力を入れてほしい。

 この法律は、障害者の読書環境整備を求める国際条約「マラケシュ条約」の締結を受け、超党派の議員連盟がまとめた。

 著作物の音声化やテキストデータの視覚障害者などへの提供は、昨年の著作権法改正で既に可能となっている。今回は新たに、点字図書や電子書籍を利用しやすくする施策の策定と実施が、国と地方公共団体の責務と法律で明記された。

 法律は「全ての国民が文字・活字文化の恵沢を享受できる社会の実現」を掲げ、バリアフリーの範囲を広く捉えている。

 音声読み上げなどで恩恵を受けるのは、視覚に障害のある人に限らない。文字を読むことに困難を抱える学習障害の人や、手足が不自由で印刷物が読みにくい人の助けにもなる。

 日本点字図書館がシステムを管理し、全国視覚障害者情報提供施設協会が運営する情報ネット「サピエ」では、小説などの新刊をはじめ多様な書籍の音声版やテキストデータ、点字版など約73万タイトルをオンラインで公開している。

 会員登録すれば利用でき、会員は5月末で1万7千人を超えた。県内でも点字図書館や複数の公立図書館が参加し、多くの市町では地元図書館でも読みたい本を自分に合った形式で借りることができる。

 今後は、国が障害のある人や図書館関係者、書籍製作者らを交えた協議の場を設け、財政措置を伴った基本計画を作る。明石市のように独自で条例制定を検討している自治体もある。

 朗読などのボランティアやNPOとも連携し、バリアフリーを地域から進めていきたい。

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