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 大阪でのG20サミットを終えて韓国を訪問していたトランプ米大統領が、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と南北軍事境界線がある板門店(パンムンジョム)で会談し、現職米大統領として初めて北朝鮮側に足を踏み入れた。

 両氏は非核化を巡る実務協議の再開で合意し、話し合いは今月中旬にも始まる見通しだ。

 会談は、トランプ氏が前日にツイッターで呼び掛け、金氏が応じて電撃的に開かれた。外交の常識を超越した手法はいかにもトランプ氏らしい。単なるパフォーマンスに終わらせず、行き詰まっている非核化交渉の進展につなげねばならない。

 会談が実現したのは、両首脳の思惑が一致したからだ。ハノイで2月に開かれた第2回米朝首脳会談は決裂に終わり、実務協議は出口の見えない膠着(こうちゃく)状態に陥っていた。打破できれば、トランプ氏は再選を目指す来年の大統領選に向けて外交成果をアピールできる。一方、金氏はハノイ会談で傷ついた自らの威信回復を狙ったとみられる。

 敵対する米朝の首脳同士が対話を重ねること自体は評価できる。問題は、会談の中身だ。

 過去2回で非核化の考え方や手順を巡る米朝間の隔たりは埋まらなかった。北朝鮮が段階的な非核化を主張しているのに対し、米国は完全な非核化が実現してこそ制裁の緩和や解除ができるとの立場を貫いている。

 この溝が埋まらない限り、再開される実務協議も難航が予想される。両国は、今度こそ具体的に前進させる覚悟で臨まねばならない。まずは金氏が核放棄に向けて、より踏み込んだ決断をすべきだ。

 気がかりなのは、トランプ氏が北朝鮮による短距離弾道ミサイル発射を問題視しない考えを重ねて表明したことだ。米本土を脅かさなければ黙認するかのような姿勢は、北朝鮮側に都合よく解釈される恐れがある。国連安全保障理事会の制裁決議に違反する行為として批判している日本の立場とも食い違う。

 安倍晋三首相は前提条件なしで日朝首脳会談を求める考えを示しているが、蚊帳の外だった。日本人拉致問題の解決のためにも、朝鮮半島の平和と安定を巡る問題に、当事者として積極的に関わる必要がある。

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