社説

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 商業捕鯨が31年ぶりに再開した。1951年に加盟し、クジラの資源管理を話し合ってきた国際捕鯨委員会(IWC)を脱退し、日本は独自の道を歩むことになる。

 再開後初の操業でクジラが水揚げされた北海道釧路港などは新たなスタートを祝うムードに沸いた。だが、前途は多難だ。

 鯨食への国民の関心は低く、消費が低迷する中で事業の先行きは見通せていない。欧米各国が加盟する機関とたもとを分かつことで、国際社会の信頼低下を招くおそれがある。

 脱退を決断した国と食文化の継承を訴える捕鯨関係者は、国内外の理解を得るための努力を重ねていかねばならない。

 商業捕鯨再開に伴い、資源が豊富な南極海など公海での調査捕鯨はとりやめとなる。操業の場は日本沿岸の領海と排他的経済水域(EEZ)に限られる。

 税金で特別な支援を受けてきた調査捕鯨と違い、今後は収益性を高めて産業として独り立ちすることが求められる。

 鯨肉の国内消費は60年代に20万トンを超えていたが、国際的な捕獲規制が響き、近年は5千トン前後まで低下している。業界は、調査捕鯨では難しかった鯨肉の鮮度確保などで販路拡大を目指す。しかし、食べたことがない若者も多く、消費者へのアピールは容易ではないだろう。

 国際社会に日本の立場を説明する活動は重要性を増す。

 水産庁は来年以降の年間捕獲枠の算定に、乱獲を防ぐためにIWCで採択された方式を使った。計383頭、推定資源量の1%以下という水準は他魚種に比べて非常に厳しく、クジラを保護すべき動物とみなす国際世論に配慮した形だ。

 政府は脱退後もIWCにオブザーバーとして参加し、集めた鯨類のデータ提供などで資源管理に協力していくという。

 それでも、商業捕鯨再開は、クジラの資源管理を規定する国連海洋法条約違反として訴えられる可能性が否定できない。2014年に国際司法裁判所から南極海での調査捕鯨の中止を求められた苦い経験もある。

 他の捕鯨国などとも連携しながら、国益を損なうことのないよう外交上のリスクを精査していく必要がある。

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