社説

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 日本で暮らす外国人の日本語習得を支援する「日本語教育推進法」が超党派の議員立法で成立した。

 これまで日本語学習は自治体や国際交流団体などに任せきりだった。それを国、自治体、外国人を雇う事業者の責務と初めて位置付けた。

 外国人労働者をはじめ、その家族、留学生、技能実習生、難民などさまざまな立場の人に、希望に応じて学習機会を提供すると定めている。

 言葉は社会生活のインフラといえる。「共生」の観点からも、外国人が地域住民としての基盤を築き、個性や能力を発揮するには日本語教育が鍵となる。法制定の意義は大きい。

 とはいえ、理念を掲げた、いわば基本法である。実効性のある施策を実現するには国の財政措置が欠かせない。

 4月には外国人労働者を広く受け入れる改正入管難民法が施行された。過疎化の進む地域でも外国人が増えるのは確実だ。学習支援の地域間格差が生じないよう、自治体に対する国の手厚い支援が求められる。

 教育現場では既に課題が浮き彫りになっている。子どもたちの多国籍化に学校の対応が追い付いていないのだ。

 兵庫県内の公立学校で学ぶ外国人の児童生徒は2018年度時点で3152人いる。このうち日本語指導が必要なのは約1000人に上る。

 県は教員OBらに研修を受けてもらい、「日本語指導支援員」として市町に派遣する事業を行っている。しかし費用の半額は市町負担のため、厳しい財政事情から派遣先は姫路、芦屋、三木の3市にとどまる。

 県教育委員会は「高校進学できる学力を身につけさせたいが、現状では限界がある」と話す。貧困の連鎖を生まないためにも、今まさに困っている子どもたちへの支援を急ぐべきだ。

 新法は公的資格がない日本語教師の資格制度の整備を求めている。専門性を高め、処遇改善にもつなげてほしい。将来は学校教育の中に位置付ける必要があるのではないか。

 「多様な文化を尊重した活力ある共生社会の実現」が新法の目的だ。国の本気度が問われている。

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