社説

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 2015年の従軍慰安婦問題に関する日韓合意に基づいて韓国で設立された「和解・癒やし財団」が正式に解散した。日本政府は反発し、合意履行を韓国政府に改めて求めた。

 財団は、日本政府が拠出した10億円を元手に、元慰安婦らへの現金支給事業を担っていた。

 「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した合意は、こじれた歴史問題を克服するため、両国が歩み寄った成果である。財団はその根幹部分だった。

 元徴用工問題や日本の韓国向け輸出規制の強化で対立がエスカレートする中、このままでは両国の溝は広がるばかりだ。関係改善の貴重な糸口をなくすような韓国側の対応は冷静さを欠いている。

 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は、財団は活動休止状態が続き、解散はやむを得ないとしている。しかし、日本政府の同意を得ないまま解散手続きを進めたやり方には首をかしげざるを得ない。

 文氏は就任当初から、弾劾、罷免された朴槿恵(パククネ)前政権下で交わされた日韓合意に否定的な姿勢をとってきた。だが、合意は国際的な約束である。政権が代わったとしても順守する責任を負うことを認識すべきだ。

 気がかりなのが、現金の受け取りを希望した元慰安婦や遺族計107人のうち、まだ15人に支給されていないことだ。韓国政府は、財団解散後もきちんと支給する責任がある。日本の拠出金の残金約5億円の扱いも説明が求められる。

 文氏は一方で、合意の破棄や再交渉は求めないとしている。問題をどう解決しようというのか、代案を示すべきだ。

 安倍晋三首相は、G20大阪サミットで文氏との首脳会談を開かなかった。輸出規制の拡大も検討しているという。報復措置の応酬で、対立が泥沼化する事態は避けねばならない。

 慰安婦問題はさかのぼれば1910年、日本が朝鮮半島を植民地化した事実に行き着く。日本政府は対話の扉を閉ざさず、互いに知恵を絞って、関係改善の努力を続ける必要がある。

 政治的な対立をよそに、双方の年間往来者は1千万人を突破した。歴史的にも関係の深い隣国同士である。関係悪化にブレーキをかけるべきだ。

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