社説

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 本格的な人口減少時代が到来した。働きたい人が家庭と両立しながら、能力を発揮できる社会の実現が急がれる。鍵となるのは働き方の多様化だ。

 安倍政権が「最大のチャレンジ」と位置付けた働き方改革関連法は4月に施行された。残業時間に初めて上限規制を設け、原則「月45時間、年360時間」とした。「同一労働同一賃金」も盛り込んだ。

 法規制しても、長時間働くことをよしとする企業風土を変えなければ働き方の選択肢は広がらない。「アベノミクス」の下でさらに増えた非正規雇用の待遇改善は待ったなしである。

 参院選で与野党は長時間労働の是正や非正規社員の正規化などを公約に掲げた。方向性に大きな違いはない。

 しかし、肝心なところが見えてこない。どうすれば働きやすさや所得増などの明るい展望につながるか。有権者が知りたいのは具体策だろう。

 働く現場は疲弊している。仕事は増える一方なのに人手不足は改善しない。残業時間の削減を優先するあまり、本末転倒の事態が起きている。

 家に持ち帰る仕事が増えた、残業を許可制にしたため管理職の業務が膨らんだ、給与が上がらないのに残業代が減り若手の士気が下がった-。こんな嘆きが兵庫県内でも聞かれる。

 一部の専門職を残業時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度」については、多くの野党が「中止」「廃止」「厳格化」などを求めている。

 働きやすさや働きがいは企業の競争力を高め、社会の活力にも資する。そのための環境整備は政治の責任だ。突っ込んだ議論を聞かせてほしい。

 裁量労働をめぐる議論が立ち消えになっている点も気がかりだ。今年に入ってからも、違法な長時間労働を助長する不適切な運用が相次ぎ発覚した。

 働き方改革関連法案には当初、裁量労働制の適用拡大が盛り込まれていた。しかし根拠となる統計の信頼性が崩れ、見送られた。復活が取りざたされるが与党の公約には見当たらない。

 政党や候補者は働き方の未来像を明確に示す責任がある。

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