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 イランが核合意の一部履行停止の追加措置として、ウラン濃縮度の上限超過に着手したと発表した。核開発への懸念が高まり、中東情勢は緊迫度を増している。

 昨年5月、米英仏独中ロの6カ国と結んだ核合意をトランプ米大統領が離脱すると表明し、イランへの経済制裁を復活させた。国民生活に影響が広がっているが、一連のイランの行動は核合意の崩壊を避けたい英仏独などに支援実行を迫る「瀬戸際戦術」そのものだ。

 このままでは核合意が骨抜きになり、国際社会でのイランの孤立化が進む。米国の圧力路線に拍車がかかる可能性も否めない。イランと対立するサウジアラビアなどに核開発が連鎖する危険性がある。

 イランは直ちに核合意の全面順守に立ち返るべきだ。

 すでにイランは低濃度ウランの貯蔵量で核合意の上限を超過している。今回、ウランの濃縮度も上限に定めた3・67%から約4・5%に引き上げた。

 警戒すべきは、20%以上に濃縮する可能性も示唆している点だ。核兵器用の高濃縮ウランも短期間でつくれる技術水準を意味する。

 核兵器は宗教上禁じられているとイランは主張するが、米国などは核武装を辞さないとのメッセージと受け止めている。

 今回の事態を受け、米国はイランに対する制裁強化の方針を表明した。ペンス副大統領は軍事的対応さえ示唆している。

 トランプ氏は先月、無人偵察機撃墜を受けたイランへの報復攻撃を承認し、実行直前に撤回した。両国が武力衝突すれば多くの血が流れる。中東全体も戦火に巻き込みかねず、絶対に回避しなければならない。

 そもそもイランがこのような振る舞いに出た発端は、米国が他の当事国と協議を積み重ねることもなく、核合意を一方的に離脱したことにある。

 日本は核合意の当事国ではないが、米国ともイランとも長年にわたって良好な関係を築いてきた。今こそ国際社会と連携して両国の仲介の労をとり、最悪の事態に陥らないように外交努力を重ねるべきだ。

 何よりトランプ氏に、冷静な対応を迫る必要がある。

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