社説

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 安倍晋三首相が今回の参院選で実績に挙げるのが外交分野だ。2012年の現政権発足以来、トランプ米大統領と12回、ロシアのプーチン大統領とは実に23回の会談を重ねた。国際社会に大きな影響力を持つリーダーと、個人的信頼関係を築くことに注力しているようだ。

 だが、それが具体的な成果につながっているとは言いがたい。「外交の安倍」の限界が見えてきていないか。

 信頼関係の構築は、関係悪化を未然に防いだり、課題を解決に近づけたりするためのものだ。首相が首脳外交の回数や親密さだけを誇るのなら、手段と目的をはき違えている。

 激動する国際社会で日本はどんな道を歩むべきか。有権者の判断材料になる明確なビジョンを示してもらいたい。

 第2次安倍政権の6年半の間、外交の基軸となる対米関係は良好に推移しているように映るが、通商分野などでは大きな溝を抱えている。

 トランプ氏はパリ協定やイラン核合意からの離脱を一方的に表明するなど、国際協調に背を向け自国第一主義を貫く。首相は蜜月関係を誇るが、イラン情勢の深刻化などを考慮すれば、日本の立ち位置を慎重に選び取る必要がある。

 一方、北方領土問題や日本人拉致問題は1ミリも前進していない。中国との関係改善は進んでいるが、米中の摩擦激化に伴う棚ぼた的な要素が大きい。

 元徴用工問題などに端を発した韓国との対立激化も懸念材料だ。両国関係は国交正常化以来最悪とされる状態に陥っており、日本政府による韓国への半導体材料の輸出規制強化にまで発展している。こうした局面でどう収拾策を打ち出すか。

 公約では、自民党は「力強い外交」、公明党は「平和と繁栄の対外関係」をうたう。一方、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会は「現実的」な外交、共産党は「憲法を生かした平和外交」、社民党は「安倍外交からの転換」を掲げる。

 トランプ氏の言動できしみが生じた国際社会と向き合うには理念だけでなく具体的な政策が欠かせない。各党の徹底討論を求める。

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