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 東京一極集中の是正と人口減少の克服を掲げた安倍政権の看板政策「地方創生」の行き詰まりは明らかだ。

 総務省の人口動態調査で、国内の日本人人口は10年連続で減少した。名古屋圏と関西圏の落ち込みが大きく、神戸市は前年からの減少数が6235人と、全市区町村で最大だった。

 周辺をけん引してきた都市部の人口減は深刻だ。持続可能な地域づくりは全国共通の課題といえる。ところが、参院選では年金、消費税増税、憲法などの対決ムードに隠れがちで地方を巡る政策論争は低調だ。

 政府はこの5年、移住や企業の地方移転を促進する施策を用意し、20年に東京圏と地方の間の転入、転出を均衡させる目標を立てた。しかし18年の東京圏への転入超過は約14万人に膨らみ、達成は絶望的となった。

 安定した長期政権だからこそ思い切った対策を打てるはずだが、目玉だった政府機関や企業の地方移転は掛け声倒れに終わった。安倍政権がどれだけ本気で取り組んだのかは疑問だ。

 自民、公明両党は、地方での起業・就職に最大300万円を支給する制度や、人口減対策に取り組む自治体への交付金拡充など、引き続き「地方創生の推進」を掲げる。

 国が目標を定め交付金や税優遇で誘導する仕組みは、地域の自由度を狭め、使い勝手が悪いとの指摘もある。なぜ成果が上がらないのかを検証し、抜本的に見直す必要がある。

 立憲民主党は公約に地方政策の項目を設けず、「地域の暮らしの安心を高める分野」への重点投資や、地域のNPOなどとの連携で共生社会を目指すとした。国民民主党は「地域主権改革」で、一括交付金復活や高速道路料金見直しなど民主党政権時の主要施策を盛り込んだ。

 共産党は、地域を疲弊させるとして安倍政権の「地方創生」に反対する。日本維新の会は道州制など統治機構改革を主張し、社会民主党は地方交付税の法定率引き上げなどを挙げた。

 人口減少を直視し、自立した地域社会を育めるかは国の将来を左右する。各党は地方の自主性を引き出すための政策を競うべきだ。

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