社説

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 私たちは人生でさまざまなケアの必要性に迫られる。自分や家族の病気、出産や育児、高齢者の介護などが同時期に重なることもある。

 働き盛りの世代が育児と介護に直面する「ダブルケア」が代表例だろう。晩産化で顕著になってきた。老齢の親が引きこもりが長期化したわが子を支える「8050問題」も深刻だ。

 こうした複数の課題を抱える人は、今後さらに増える。子ども、高齢者、障害者と対象ごとに分かれる従来の縦割り制度では対応しきれない。各分野の連携や包括的な支援体制がより一層望まれる。

 ケアの将来像に関する有権者の関心は極めて高い。各政党、候補者は選挙向けの「大盤振る舞い」ではなく、具体策を競い、議論を深めるべきだ。

 自民、公明の両党は「全世代型社会保障」を掲げる。柱の一つに、住み慣れた地域で医療、介護などを一体的に受けられる地域包括ケアシステムの強化を据えた。

 立憲民主と国民民主の2党に共通するのは「総合合算制度」の導入である。医療、介護、保育などにかかる自己負担額に上限を設けて経済的な不安を取り除く、としている。

 共産党と社民党は子どもの医療費の無料化、日本維新の会は医療、リハビリ、介護、福祉の連携をそれぞれ挙げた。

 どの党も子育て世代から高齢者までの「安心」をうたうが、制度設計への踏み込みが足りない。野党は消費税増税に反対しており、財源についての不安感が払拭(ふっしょく)できていない。

 与党は消費税増税が前提だが、キャッシュレス決済の際のポイント還元やプレミアム付き商品券発行を景気対策として盛り込んだ。保育や介護に携わる人の処遇改善も急がれる中、そんな余裕はあるのだろうか。

 複数の党が介護離職ゼロや、仕事と介護の両立支援を訴えている。ただ「ケアは家族が担って当たり前」という考え方では当事者の負担が増す。少子化、晩婚・非婚化などで家族形態は変わりつつあ

る。独居の高齢者も増えている。過度な家族頼みからの転換を、今こそ議論してほしい。

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