社説

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 トランプ米政権は、イラン沖のホルムズ海峡で同盟国の軍と有志連合を結成する方針を発表した。日本の自衛隊も参加を打診される可能性がある。

 過去、自衛隊は米軍に何度も協力してきた。だが、いずれも後方支援などの形だった。

 自衛隊はあくまでも「専守防衛」を旨とする組織である。武力の行使は自国を守るための例外的な措置とされ、必要最小限度に制約される。

 他国を攻撃する戦力は保持せず、交戦権は認めないとする憲法9条の定めがあるからだ。

 米国の強い要請でも、一線を越えることは許されない。前面に立つ軍事協力はとても無理だと、明確に伝えるべきだ。

 有志連合結成の計画は、米軍制服組トップが明らかにした。参加国の軍は米軍指揮下で役割を分担し、自国艦船や米軍艦船の警備に当たるという。

 ホルムズ海峡で日本のタンカーが攻撃されたのは先月中旬のことだ。誰が攻撃したかは不明だが、米国はイランの関与を主張する。「航行の自由を守るため」というのが有志連合結成を呼び掛ける理由である。

 日本が輸入する原油の8割はホルムズ海峡を通過する。安全な航行が阻害されれば経済や国民生活が大打撃を受ける。

 とはいえ有志連合は国連決議を欠いた軍事行動だ。正当性を疑う声も上がるだろう。

 防衛省も現地の状況は「小康状態」とみており、国家の危機的な事態とはいえない。自衛艦を派遣しても、治安維持の海上警備行動では武器使用が正当防衛などに限られる。海賊対処行動の適用も難しく、現行法でできることは限られている。

 特別措置法の制定も、立法化と国会審議に時間がかかる。

 そもそも現在の緊張の高まりは、イランとの核合意を一方的に破棄した米国が招いたといえる。「自国の船は自分で守れ」というトランプ氏の発言には、日本などに安全保障の負担増を迫る狙いもあるようだ。

 日本はイランと友好関係にあり、包囲網を強める米国に加担したと受け取られれば、培った信頼を失う恐れがある。国益の損失の大きさを考えれば、米国からの無理筋の要請を安易に受け入れることはできない。

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