社説

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 終盤の参院選で、経済政策を巡る論戦が熱を帯びている。

 安倍晋三首相の名を冠して「アベノミクス」と呼び、政権が重視してきた分野だ。成果を誇る与党に対し、野党は実態との乖離(かいり)を主張する。

 6年半を経て、政策のマイナス面も目立ち始めた。効果が国民の暮らしにどれだけ届いたのか、総点検が必要だ。

 与党の自民、公明は有効求人倍率の改善や、国民総所得と家計の可処分所得が伸びた点などをアピールする。

 求人倍率の改善は、人口減で働き手の数が減った点も加味して評価する必要がある。日本全体の稼ぎを示す国民総所得は約67兆円増えたが、家計の可処分所得は10兆円増にとどまる。

 首相が唱えた、大企業などが潤って中小企業や家計にも波及する「トリクルダウン」は実現に至っていない。実質賃金や消費支出も減少傾向にある。

 景気が後退局面に入った可能性を示すデータも出始めた。こうした現状を首相は直視し、国民が景気回復を実感できていない要因について説明責任を果たすべきだ。

 野党は立憲民主が「ボトムアップ経済」、国民民主が「家計第一」を掲げ最低賃金増や家計支援を打ち出す。共産は格差是正、日本維新の会が経済成長による消費拡大、社民が賃金と労働条件の改善を掲げる。

 日本経済の6割を占める個人消費をいかに伸ばすか、具体策を競ってほしい。

 安倍政権がデフレ脱却の目標として掲げた物価上昇率2%は、未達成が続いている。

 日銀は政権と歩調を合わせ、大量の国債を銀行から買う金融緩和で物価押し上げを狙った。市場の期待は高まり株価上昇や円安をもたらしたが、もはや賞味期限切れの感がある。

 高リスクの金融商品まで買っている。これ以上の緩和策をとれば市場受けを狙ったよりリスクの高い内容になりかねない。

 常態化した超低金利に地方の衰退も重なり、地域金融機関を苦境に立たせているのも放置できない副作用といえる。

 中央銀行が独立性を高め、政府とは異なる視点で金融政策を練る重要性についても、各党が議論を重ねるべきだ。

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