社説

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 日本のアニメ界を背負う多くの若者らの未来を奪った痛ましい事件に、言葉を失う。

 京都市のアニメ制作会社「京都アニメーション」が放火され33人が死亡した。放火したのは運転免許証などから、さいたま市在住の41歳の男とみられる。

 18日午前、3階建てのスタジオの1階玄関から侵入し、ガソリンのような液体をまき、火を付けたという。男も顔や胸などのやけどを負い、治療中だ。

 「死ね」と叫びながら放火したとの目撃情報があり、建物前では包丁数本が入ったかばんやハンマーが見つかっている。どのような理由があろうと、絶対に許されない暴力行為だ。警察と消防は、動機や背景とともに、素早く広がった火災の原因も徹底究明してもらいたい。

 京都アニメーションは東京に集中する業界にあって、独創的なヒット作で地方アニメを引っ張ってきた存在だ。代表作「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」の舞台とされる西宮市など、作品に登場する地域は「聖地」とされ、各地の町おこしにも貢献してきた。

 早い段階から制作スタッフを正社員にするなど、人材育成でも高い評価を受けてきた。そうした「地方発」のモデルを築いてきた人々の夢を壊した犯行に憤りを禁じ得ない。

 府警によると、出火時は建物内に社員ら74人がいた。犠牲者の半数以上の19人が3階から屋上に出る階段で折り重なるように倒れていた。

 ビルには消防法で義務付けられた消火器や警報器は備え付けられていた。気化したガソリンが一気に燃え広がり、逃げる間もなく多くの人が一酸化炭素中毒で死亡したとみられる。1~3階のらせん階段が火の回りを早めたとの指摘もある。

 ガソリンを悪用した重大犯罪は過去にも繰り返されてきた。防ぎようのない被害の凶器となる危険性を考えれば、購入時の規制策を検討する必要があるのではないか。

 平成以降最悪の惨事の衝撃は世界にも広がった。欧米やアジアのファンからも暴力への抗議と悼む声が相次ぎ、支援金を募る動きも出ている。時間はかかっても必ず素晴らしい作品づくりが復活できるよう、支えていきたい。

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