社説

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 参院選の全議席が確定した。

 自民、公明両党は計71議席を確保し、改選議席の過半数の63を上回った。野党は立憲民主党と日本維新の会が勢力を伸ばす一方、国民民主党、共産党は議席を減らし、明暗を分けた。

 兵庫選挙区は、維新の現職がトップ当選し、公明、自民の両新人も議席を得た。

 自民党総裁として記者会見した安倍晋三首相は「力強い信任をいただいた」とし、真っ先に憲法改正の議論を加速させる考えを示した。

 党総裁に復帰して6度目の国政選挙で、首相はこれまでになく憲法改正を正面から訴えた。総裁任期はあと2年。宿願である改憲を長期政権にふさわしいレガシー(政治的遺産)にしたいのだろう。

 選挙戦では「憲法改正を議論する政党か、しない政党か」を問い掛けたとし、「議論は行うべきだという国民の審判が下った」と結論付けた。

 だが、有権者が1票に託す思いはさまざまだ。特に今回は年金、消費税増税、経済政策など身近な問題が争点となった。首相の思惑はどうあれ、この選挙結果で改憲論議加速の民意が示されたとするのは、都合のいい決めつけにほかならない。

 与党の多数は変わらないが、自民は改選議席から9減らし、単独過半数も失った。安倍政権下の改憲に前向きな勢力は国会発議に必要な3分の2を維持できなかった。投票率は5割を切り、有権者の関心は盛り上がらなかった。信任というより、現状維持の容認と考えた方がしっくりくる。

 首相は「自民党案にとらわれず、柔軟に議論していく」とも語った。衆参で改憲勢力が3分の2を占めたこの3年間も議論は停滞した。責任を野党に押しつけるような発言は慎むべきだ。首相主導の改憲に反対している野党とも話し合える土壌を整えるのが先だろう。

 何より、国民は拙速な改憲論議を望んでいない。共同通信の出口調査では、安倍首相の下での改憲に反対が47・5%で、賛成の40・8%を上回った。

 人口減少が加速する中での社会保障改革など課題は山積している。国民が求める政策の優先順位を見誤ってはならない。

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