社説

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 今回の参院選では、安倍晋三首相の街頭演説中にヤジを飛ばすなどの行為をしたとして、聴衆が警察に強制排除される問題が北海道などで相次いだ。

 警察は「トラブルや犯罪の予防措置」としている。だが当時の状況は混乱に程遠く、専門家は「法的根拠があるか疑問で、やり過ぎだ」と批判する。

 「増税反対」のプラカードを掲げた女性1人を警官が取り囲むなど、個人に対して圧倒的な公権力を行使する。とても尋常な光景とはいえない。

 見過ごせないのは、そうした対応が政権に批判的な言動への規制とも映ることだ。公正中立であるべき法の執行に懸念を残しただけでも、警察の信頼に関わる事態といえる。

 強制排除は、選挙戦後半の15日に起きた。札幌市内での首相の街頭演説中に「安倍辞めろ」などとヤジを飛ばした男性が、北海道警の警察官5人ほどに腕をつかまれ、移動させられた。プラカードを持った女性が排除されたのもこの時である。

 3日後にも、滋賀県大津市内で首相の演説にヤジを飛ばした男性が、滋賀県警の警察官に取り囲まれたとされる。

 街頭演説では聴衆から賛否の声が上がる。それがエスカレートすれば、公職選挙法の「選挙の自由妨害」として取り締まり対象となる。

 ただし判例では、大音声のスピーカーで演説を邪魔するなど悪質な場合に限られる。

 札幌市では、首相の周囲に大勢の支持者が詰めかけていた。応援の横断幕やプラカードが並ぶ中で何人かが肉声で抗議の声を上げたが、警察が介入するほどの異常な状況だったのか。

 むしろヤジなどへの行き過ぎた規制は憲法が保障する「表現の自由」を侵害しかねない。政治運動に関する対応は本来、できる限り抑制的であるべきだ。

 首相がヤジに対し「こんな人たちに負けるわけにいかない」と気色ばんだのは、2年前の衆院選だ。抗議活動を嫌ってか、今回の参院選でも遊説日程を当日まで公表しなかった。

 警察が忖度(そんたく)したと受け止める国民もいるだろう。この際、法を故意に逸脱すれば職権の乱用に当たるとの戒めを、組織全体で徹底してもらいたい。

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