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 安倍晋三首相が、ハンセン病元患者家族訴訟の原告団に会い「心から深くおわび申し上げます」と直接謝罪した。

 6月の熊本地裁判決は国に損害賠償を命じたが、首相は控訴を見送り、おわびの談話で原告と面会する意向を示していた。

 首相は、訴訟に不参加の元患者家族も対象とする補償に向けた法整備も明言した。今度こそ、国は誤った政策がもたらした被害を全面救済し、差別・偏見を根絶させねばならない。

 元患者本人の訴訟では、2001年に熊本地裁で国が敗訴した際、当時の小泉純一郎首相が原告に謝罪し、元患者側と和解した。

 本来なら、国はこの時に全面解決へと踏みだすべきであった。しかし家族も受けていた差別問題への対応を置き去りにしたために、今日まで深刻な被害が続いてきた経緯がある。

 ハンセン病問題の全面解決には、被害の全容に正面から向き合ってこなかったことへの国の反省が欠かせない。

 首相は、「解決にむけて協議の場を速やかに設ける」と約束した。ハンセン病補償金支給法やハンセン病問題基本法の改正などを、政府と与党で検討するとみられる。

 元患者家族の多くは村八分にされ、進学や就職、結婚などで人権侵害を受けてきた。そうした声に真摯(しんし)に耳を傾け、苦難の歴史に対する責任の重さを痛感しなければ、真の救済につながる取り組みは生まれない。

 元患者家族であることを隠すため、訴訟に加わっていない被害者も数多い。その人たちが名乗り出られるようにするための環境づくりも不可欠となる。

 原告団が強く訴えるように、問題の最終解決は、社会に根付いたハンセン病への差別や偏見を完全に取り除くことにある。

 戦前に始まった隔離政策が強固な差別の構造を生み出してきた。その実情を明らかにし、解消する施策が求められる。

 社会に深く根を下ろした誤った認識をただし、正しい知識を広げるには、啓発や教育の現場で国の加害責任についてしっかり説明することも必要だ。

 国民一人一人も、いまも根強い差別を解消する責任があることを自覚しておきたい。

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