社説

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 高校生の7割が通う普通科のあり方を見直す提言が相次いでいる。共通するのは、人工知能(AI)などの急速な技術革新やグローバル競争に対応できる人材を育てる狙いだ。

 経済界の意向が色濃く反映された内容といえる。10代の若者を企業の論理で「選別」することにならないか。そんな懸念すら抱いてしまう。

 生徒本位の視点に立ち、さまざまな可能性を見つけて伸ばすことを主眼に置くべきだ。

 政府の教育再生実行会議がまとめた提言は「脱画一化」を訴えている。

 現在の授業は大学受験対策に偏りがちで、生徒の興味や関心に十分に応えられていないとの前提だ。重視する内容別に普通科をいくつかのタイプに分け、各校が教育目標に合わせて選ぶよう求めている。

 具体案として、国際的に活躍するリーダー育成▽科学技術分野をけん引する力▽自らキャリアを形成する力▽地域課題の解決を通した学び-を挙げた。

 自民党も提言を示し、「グローバル科」「サイエンス・テクノロジー科」「地域科」への再編とさらに踏み込んでいる。

 普通科の多様化自体は歓迎すべきことである。各地で取り入れられ、兵庫県内でも国際文化系、自然科学系、環境・情報系などのコースや類型がある。生徒の関心や希望する進路に応じた授業が可能になった。

 一方、高校受験の段階で進路の方向性を絞るため、生徒の可能性を狭める恐れも否定できない。「変化の早い時代だからこそ、幅広い教科や教養を学び思考力を養う必要がある」と訴える教員は少なくない。

 教育再生実行会議も「文系、理系のどちらかに学習内容が偏るのは問題」と提言で触れている。拙速に普通科をタイプ分けし、一律に押しつけるような「改革」には疑問を抱く。

 中教審も近く普通科のあり方について本格的な議論を始める。学校現場の声を十分に受け止めて、公教育としてあるべき将来像を議論してほしい。

 多様な専門分野の教員を確保するのが難しい地域もあるだろう。地理的要因で教育の質に差が生じないような手だても強く求めたい。

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