社説

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 122もの非保有国の賛成を得た核兵器禁止条約の採択から2年を過ぎた。

 発効すれば、地球上からの核廃絶に向けて、大きな推進力になるのは間違いない。そのためには50カ国以上の批准が必要だが、まだ半数に満たない。

 この1年で十数カ国が増えたにすぎず、いまだに発効のめどは見通せない。日本をはじめ世界の大半の国々に、危機感が乏しすぎるのではないか。

 今年も広島と長崎の原爆忌が近づく。被爆者らの過酷な体験に耳を傾け、核の本当の怖さを学ばねばならない。

 発効への足かせになっているのは、保有国が核依存をますます強める状況だ。中距離核戦力(INF)廃棄条約からの離脱を表明した米ロに加え、中国も核開発に前向きな姿勢を示す。米国などは、条約不参加を各国に強く働き掛けてもいる。

 スイスは条約採択に賛成しながら、安全保障政策上のリスクを理由に批准の判断を保留した。全世界が目指すべき「核なき世界」の実現は、遠のいていくばかりである。

 忘れてならないのは、1970年に発効した核拡散防止条約(NPT)で米ロ英仏中の核保有5大国に核軍縮が義務づけられている点だ。空洞化しているのは明白である。

 核兵器禁止条約は開発から保有・使用までを全面的に禁じている。核を本気でゼロにするにはこの条約が必要との非保有国の主張は当然と言える。

 残念なのが、米国の「核の傘」に依存する日本が反対の立場を崩していないことだ。

 どうすれば条約に参加できるのか。核保有国を引き入れるため、非保有国との橋渡しをするにはどうすればいいか。

 知恵を出し合い実行に移すことこそが、唯一の戦争被爆国の責務ではないか。

 国連軍縮研究所の幹部は「核戦争のリスクが第2次大戦以降で最も高くなっている」と述べ、世界がもっと深刻に受け止めるべきと訴える。広島、長崎に続く3度目の核のボタンがこれまで押されなかったのは奇跡との見方もある。

 世界各国が立場の違いを乗り越え、大きな一歩を踏み出すことの重要性を認識すべきだ。

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