社説

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 先の参院選で重い身体障害のある新人議員2人が当選したのを受け、与野党が国会議事堂の改修工事や投票ルールなどの見直しを行うことで合意した。8月1日に召集する臨時国会までに改修を終えるという。

 障害者差別解消法は、障害を理由とする差別をなくすため、国や地方自治体に必要な施策を策定し実施する責務を課している。「国権の最高機関」である国会も行政任せにせず、自ら範を垂れるべきである。

 議員は一人一人が国民の代表であり、誰もが等しく活動できるよう環境を整えるのは当然だ。この際、国会運営全般を再点検する必要があるだろう。

 併せて衆院でも、バリアフリー化を徹底して進めたい。

 重度障害のある議員は、「れいわ新選組」の船後靖彦氏と木村英子氏の2人だ。

 船後氏は全身の筋肉が動かせなくなる難病の患者で、木村氏は生後8カ月で事故による障害を負った。ともに手足を自由に動かすのが難しく、電動車いすで移動する。今回、比例代表の特定枠で当選を果たした。

 まず障壁となるのが本会議場の構造だ。段差が多く、健常者を基準に設計されている。

 そこで、電動車いす用のスペース2議席分を出入り口付近に確保することになった。船後氏は人工呼吸器を装着しており、医療機器の電源も設置する。議事堂の中央玄関にもスロープを備えることにした。

 見直しはハード面にとどまらない。参院は押しボタン式の投票を採用しているが、介助者の代行を認めることになる。

 声が出ない船後さんは、目の動きで遠隔操作する「分身ロボット」の導入を希望しているそうだ。与野党は理事会で検討するが、当事者の声を聞いて必要な措置を実施すべきである。

 首をかしげるのは、議員活動が「経済活動」とみなされ、介助費が公的補助の対象とならないことだ。国の基準では通勤介助も同じ理由で補助対象とされず、就労を目指す障害者から疑問の声が上がっている。

 国会運営にとどまらず、障害の有無を超えた共生社会の理念にそぐわない制度や慣行はまだまだ少なくない。社会の姿を問い直す機会にもしたい。

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