社説

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 中央省庁による障害者雇用水増し問題を受け、行政機関に対する厚生労働省の監督機能強化を柱とする改正障害者雇用促進法が、先の国会で成立した。

 問題発覚後、各省庁は障害者の新規採用を加速させているが、目立つのは短期間での離職者だ。民間企業から省庁などへの人材流出も相次いだ。

 再発防止の法制化は進んでも、障害者がやりがいを持って生涯働き続けられる環境づくりや職種の開発が遅れていることを再認識したい。

 前代未聞の水増し問題は昨年8月に発覚した。多くの省庁が法定雇用率に届かせるため、退職者や障害者手帳を持たない職員を算入していた。兵庫県も含め地方自治体にも同じ手法が広まっていた。介助が必要な障害者を門前払いにする不適切な求人も、多くの行政機関で明るみに出た。

 公務員の定数が減る中、行政サービス維持の観点も働いたのだろう。しかし障害者雇用促進法の趣旨に反して雇用機会を奪ったことになる。差別意識がなかったとは言えない。

 民間の障害者受け入れ数は昨年6月時点で過去最多の約53万人となった。採用意欲が不熱心な企業にペナルティーを科す側の中央省庁がルール違反をしていた責任は重い。

 問題発覚後、政府は今年末までに約4千人の採用目標を立てたが、新たな課題が露呈した。28行政機関が昨年10月から今年4月までに採用した2518人のうち、16機関の131人が今年5月時点で既に離職した。大量採用を急ぐあまり、数合わせの実態が浮き彫りになった。

 さらにこの間、中央省庁が採用した障害者のうち、337人が民間企業からの転職組で、民間の障害者雇用を圧迫した。

 民間では特性に応じた仕事を任せるなど、障害者を重要な戦力とする取り組みが一部で進んでいるが、官公庁も含めてやりがいのある職域づくりは後回しになっている。

 兵庫県教育委員会は「障害者人材バンク」を設置し、実際の勤務で教員や事務職員、栄養士など6職種で適正を見極め、採用につなげる取り組みを始めた。数の不正を改めるのを機に、職場のあり方も見直したい。

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