社説

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 自民党の萩生田(はぎうだ)光一幹事長代行がインターネット番組に出演し、国会での憲法改正論議を巡って、衆院の大島理森議長を代える必要性に言及した。

 衆参の憲法審査会では与野党の議論が思うように進まない。そうした状況を踏まえ、「今のメンバーでなかなか動かないとすれば、有力な方を議長に置き、改憲シフトを国会が行うのは極めて大事だ」と述べた。

 耳を疑う発言である。

 参院選を終えたばかりの時期に、立法府の長への不満が、与党幹部から軽々しく飛び出す。思い上がりも甚だしく、「1強」がもたらしたおごりと批判されても仕方がない。

 萩生田氏は首相側近とされ、これまでも消費税増税の延期をほのめかすなど、唐突な言動と首相の意向との関係が取りざたされてきた。今回も、改憲を悲願とする安倍晋三首相の思いを忖度(そんたく)したとの見方が広がる。

 さすがに二階俊博幹事長が「立場を考えて慎重な発言を」と注意した。本人も「言葉足らずで誤解を与えた」と釈明しているが、暴言だったと認めて謝罪、撤回すべきではないか。

 衆院議長は通常、総選挙後に交代する。与野党で話し合い、与党第1党から選出するのが慣例とされており、任期途中の交代はほとんど例がない。

 現在の大島議長は自民出身だが、森友・加計問題や公文書改ざん問題などで政府にたびたび苦言を呈してきた。

 一方、憲法審査会の実質議論は、今年になって衆院で1度しか行われていない。国民投票法改正案に関する意見の違いに加え、与党の強引な国会運営に野党が反発して停滞している。

 だからといって議長交代論を持ち出すのは筋違いで、立法府軽視のそしりは免れない。憲法論議は与野党の合意が大前提で、「改憲シフト」で前に進める発想は党利党略そのものだ。

 参院選で首相は「改憲を議論しない政党か、議論する政党か」と力を込めた。選挙後には「議論は行うべきという国民の審判が下った」とも述べた。

 しかし選挙後の世論調査では56%が安倍政権下の改憲に反対しており、首相の解釈には無理がある。前のめりになっても、民意との距離は縮まらない。

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