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 全ての労働者に適用される最低賃金の2019年度の改定の目安が決まった。全国平均の時給を27円引き上げ、901円とする。目安通りに実施されれば初の900円台となる。

 上げ幅は2年連続で過去最大を更新する見通しだ。深刻な人手不足や2カ月後に控える消費税増税が背景にある。

 ところが、地域間の格差は縮まるどころか拡大している。

 901円に達するのは三大都市圏の7都府県のみ。東京都と神奈川県は初めて1000円を超える。一方、現在871円の兵庫県は898円にとどまり、964円となる大阪府との差は昨年度より1円広がる。東北や九州、四国などの17県は700円台のままだ。

 こうした地域差は、働き手の都市部への集中に拍車をかける。中でも外国人労働者は敏感に反応するだろう。

 格差の是正が急がれる。国には踏み込んだ施策を求めたい。

 「1000円の早期実現を目指す」。最低賃金について、政府は6月にまとめた「骨太の方針」にこう掲げた。7月の参院選では与野党とも引き上げを訴えた。目標額に幅はあるものの、1000円以上という点は一致している。

 ただ、時給1000円でも週40時間のフルタイム勤務の年収は、ワーキングプア(働く貧困層)とされる200万円を少し超えるほどだ。家計を支える稼ぎ手にとっては、安心できる額ではない。

 日本の最低賃金は世界的に見ても低く、継続的な底上げが必要だ。そのためにも、労働者の7割が働く中小企業へのきめ細かな支援が欠かせない。

 ロボットの活用などによる生産性向上や、製品やサービスの高付加価値化、大企業と下請けの取引条件の適正化などを一層後押ししてほしい。

 兵庫県内の事業者からは「時給を上げても収入を扶養の範囲に収めるために労働時間を短縮する人が多く、人手不足が解消しない」との悲鳴が上がる。税制も見直す必要がある。

 高齢化や未婚化で単身世帯は増えている。年齢や家族の形、居住地にかかわらず、安定した暮らしを可能にする最低賃金のあり方を議論するときだ。

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