社説

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 金融機関として最優先すべき顧客保護を、ここまで軽視していたのかと驚かされる。

 日本郵政と傘下のかんぽ生命保険、日本郵便の3社トップがかんぽ生命の不正販売問題で会見し、顧客に不利益となる契約が過去5年で18万3千件あったと明らかにした。約3千万ある全ての契約についても、再調査することを決めた。

 背景となったのは過酷なノルマだ。かんぽ生命に加え、日本郵便でも年賀はがき販売などのノルマが表面化した経緯がある。グループ全体の組織体質と見て取れる。

 顧客の信頼回復には体質刷新が欠かせない。今回、3社のトップはいずれも辞任を否定したが、経営責任は免れない。陣容を一心し、事態の収拾にあたることも検討する必要がある。

 不正販売は新旧契約の保険料を二重に払わせたり、新旧契約の間に空白期間を設け無保険状態を生じさせたりするなどの内容だ。契約を切り替える際、郵便局員がノルマや手当で不利にならない形にしていた。

 商品内容を十分に理解できない高齢者に販売していた例も少なくない。政府出資の企業グループが悪徳商法まがいのやり方に手を染めていたことに、怒りすら覚える。

 かんぽ生命は6月末に不正を発表した。しかしこれだけの件数がある以上、社内では以前から広く知られていたと考えるのが自然だろう。

 疑念を拭えないのは4月のかんぽ生命株の売り出しだ。6月の不正発覚後に株価は値下がりしており、不利な事実を隠して売り出しを強行したとの見立てもできる。

 日本取引所グループは、売り出しに問題がなかったか調査を始めた。かんぽ株売却は郵政民営化や東日本大震災の復興財源の確保にも関わる。総務省などの所管官庁は利害関係者でもあり、国会が責任を持って真相を糾明する必要がある。

 全国各地の郵便局は、地域の拠点として信頼を築き上げてきた。局員と住民が顔見知りという例も珍しくない。

 その信頼を悪用したのが、今回の不正販売だ。地域に大きな傷痕を残した点でも、日本郵政グループの罪は重い。

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