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 米国で痛ましい銃乱射事件が相次いでいる。先日はわずか十数時間の間に、テキサス州エルパソと数千キロ離れたオハイオ州デートンの2カ所で計30を超す尊い人命が犠牲になった。

 特に憂慮すべきは、メキシコ国境に近く移民が多いエルパソの事件だ。容疑者の投稿とみられる犯行声明は、増え続けるヒスパニック(中南米系)による「侵略」への攻撃と乱射を正当化しており、移民に対する憎悪犯罪(ヘイトクライム)の可能性が高いとみられる。

 米国社会の分断の深刻さがうかがえる。トランプ大統領は「憎しみに満ちた行為でひきょうだ」と批判した。

 しかし自らも繰り返す人種差別的発言が、憎悪を助長させてはいないか。トランプ氏はそのことを真摯(しんし)に省みるべきだ。

 米連邦捜査局(FBI)によると、ヘイトクライムはトランプ氏が就任した2017年に前年比17%増の7千件超に達した。昨年10月には、ペンシルベニア州のシナゴーグ(ユダヤ教会堂)で40代の男が銃を乱射し、11人が死亡した。

 トランプ氏はメキシコ国境との「壁」建設などの公約を掲げ、最近では自らに反発する有色人種の女性下院議員4人を執拗(しつよう)に攻撃している。

 支持の厚い保守層を意識し、偏見や差別をあおるのがトランプ氏の戦術だ。来年の大統領選での再選を狙い、いっそう過激になる懸念がある。

 事実上、銃の所持が野放しになっている米国社会の現状を重ねれば、銃乱射が今後も繰り返される可能性が否めない。

 米下院はすでに銃の販売規制を強化する法案を可決し、上院に送付している。今回のエルパソなどでの事件を受けて、野党民主党はたなざらしになっている法案の審議を再開するよう与党共和党に求めた。

 共和党もトランプ氏も規制反対派を支持層としており、審議が始まっても可決されるかは見通せない。だが今年に入って4人以上が殺害された銃撃事件は全米で22件を数える。悲惨な事件を起こさないために議論を前に進めるべきだ。

 米国社会は、政治的な立場の違いを超え今こそ銃規制強化に向けかじを切らねばならない。

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