社説

  • 印刷

 貿易摩擦に端を発した米中対立は「通貨戦争」に発展した。

 トランプ米大統領が中国からの輸入品3千億ドル(約32兆円)に10%の制裁関税を課す意向をツイッターで発信すると、中国は米農産品の新規購入停止を発表した。さらに米国は、中国が輸出に有利なよう自国通貨を安値に誘導しているとして「為替操作国」に中国を認定した。

 米国の制裁関税は第4弾で、生活必需品も含めほぼすべての輸入品が対象となる異常事態だ。価格に転嫁されれば米国の消費者が割を食うことになる。

 米産業界にも引き上げに反対する声が多い。米中経済は密接に関わり、中国製品を直ちに他国製品に替えるのは難しいからだ。関税分だけコストが増え、企業経営を圧迫する。

 さらに国の主権に関わる通貨問題が加わると、金融市場にも大きな影響が及ぶ。

 相手に打撃を与えるための矢が結局は自らに跳ね返り、ひいては世界市場を混乱させかねない。そのことをトランプ氏は認識する必要がある。

 トランプ氏が今回の制裁関税に踏み切ったのは、問題解決に向けた習近平国家主席の取り組みの「速さが十分でない」ことに業を煮やしたためのようだ。関税を「25%以上に引き上げることもできる」と露骨に強硬姿勢を示す。

 知的財産権の保護や国営企業の優遇撤廃など、米国の要求に十分な回答を示さない中国にも非があるのは否めない。

 しかし昨年来の対立状況を打開するため、大阪で両首脳が会談し協議継続を決めてから1カ月を過ぎたばかりだ。来年の大統領選での再選を目指し、結果を急ぐトランプ氏の焦りが透けて見える。

 こうした動きを受けて、日米欧の株価は急落した。首脳会談以降、市場に漂っていた楽観ムードは吹き飛ばされた。ツイッターのつぶやき一つで世界経済の雲行きが一変する図式は、容易に変わりそうにない。

 米中と密接な関係にある日本が、仲介役を果たすべき場面だろう。ここは日本が主導し、米中が再度交渉のテーブルについて冷静に着地点を見いだせるよう、国際社会全体で働きかけを強めるべきだ。

社説の最新
もっと見る

天気(9月23日)

  • 29℃
  • ---℃
  • 50%

  • 31℃
  • ---℃
  • 50%

  • 32℃
  • ---℃
  • 30%

  • 32℃
  • ---℃
  • 30%

お知らせ