社説

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 学校法人「森友学園」を巡る財務省の決裁文書改ざんや国有地の大幅値引き問題で、検察審査会の「不起訴不当」議決を受けた佐川宣寿元国税庁長官ら10人を大阪地検特捜部が再び不起訴とした。発覚から2年余り。一連の問題は、一切の刑事責任を問うことなく幕を引く。

 だが、政権への忖度(そんたく)はあったのかという疑惑の核心は、くすぶり続けている。官僚が公文書を改ざんし、廃棄した事実は重い。行政の公正性が揺らぎ、国民の信頼を裏切る不祥事だ。

 だからこそ検審は法廷での真相解明を求めた。その判断を退け、官僚の不正に目をつぶった検察の結論は、多くの国民を失望させるものだ。

 財務省の調査報告書などによると、学園が国有地で計画した小学校の名誉校長には安倍昭恵首相夫人が一時就任していた。首相夫人付き政府職員からの照会や政治家秘書らの要請後、財務省は学園側の主張に沿う対応に方針転換していた。

 こうした経緯を記した決裁文書から首相夫人らに関わる記述を削除するなどした改ざんは、安倍晋三首相が国会で「私や妻が関わっていれば、総理も国会議員も辞める」と強弁した直後に始まっていた。これらの因果関係は曖昧にされている。

 不起訴決定について大阪地検は「十分捜査したが、起訴するに足る証拠は得られなかった」とした。政権との摩擦を避け、不起訴ありきの再捜査だったのではないか。疑念を晴らすためにも、再捜査の経緯と不起訴の根拠を十分説明すべきだ。

 一方で、決裁文書の改ざんを強要されたとのメモを残して昨年3月に自殺した近畿財務局職員について、同財務局は労災に当たる「公務災害」と認定した。官僚のモラルを逸脱した改ざん行為が、過重な負担となっていたと認めたことになる。

 改ざんを指示したとされる佐川氏らが刑事責任を問われないのは、なおさら理不尽に映る。

 司法が立件を諦めても、国会には行政の不正をただし国民の疑念を解消する責任がある。佐川氏は刑事訴追の恐れを理由に国会での証言拒否を繰り返してきた。その恐れがなくなった今こそ再招致し、改ざんの動機や経緯をたださねばならない。

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