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 米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)が、7月末に政策金利を0・25%引き下げた。リーマン・ショックに見舞われて以来、10年7カ月ぶりの利下げである。

 米国は好景気が続き、雇用も消費も堅調だ。FRBは4年前に金融緩和の手じまいを宣言し、小刻みに利上げを重ねてきた経緯がある。景気対策として直ちに利下げが必要な局面でないのは明らかだ。

 米中貿易摩擦などの影響を見据えた「予防的」措置とFRBのパウエル議長は説明したが、すでに住宅価格の上昇などが続いており、むしろ利下げによるバブル拡大が懸念される。

 景気過熱によるインフレやバブル崩壊による深刻な景気後退を招かないよう、慎重に金融政策のかじを取る必要がある。

 今回の利下げ決定にはトランプ米大統領の影がちらつく。来年の大統領選に向け株高と好景気を維持するため、議長解任にまで言及して金融緩和を迫っていたからだ。

 米中摩擦が世界経済に影を落としているのは間違いない。欧州中央銀行が利下げの可能性を示唆しているほか、トランプ政権が中国向け追加関税の第4弾を決めたのを受けタイなどが利下げに踏み切った。

 だがFRB内部の意見は割れていた。パウエル氏が今回の利下げを「長く続く利下げの始まりではない」と述べた。トランプ氏に配慮しつつ中央銀行の独立性を保とうとする苦渋の選択だったといえる。

 そもそも米中摩擦の端緒はトランプ氏にある。FRBに圧力をかけるより、摩擦を収束させる方が世界経済にはるかに有益と自覚するべきだ。

 米の利下げで日米の金利差が縮小し、円は値上がりしている。日銀も本来は追加緩和が必要になるが打つ手は限られる。

 金利はすでにマイナスに下落し、それでも物価が上がらず市場から高リスクの金融商品を買い入れている。地域金融機関の経営を圧迫し、日銀が実質的に大株主になる上場企業が増えるなど副作用も目立つ。

 10月の消費税増税で景気が落ち込む可能性もある。政府、日銀は経済不安が生じないよう細心の注意を払うべきだ。

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