社説

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 「終戦の日」のきのう、政府主催の全国戦没者追悼式が開かれた。令和初の式典で、戦後生まれの天皇陛下が初めてお言葉を述べられた。

 戦争世代の上皇さまは昨年まで自ら鉛筆を握り、惨禍を繰り返さないとの決意を語ってこられた。戦後70年の2015年以降は先の大戦への「深い反省」を毎年表明されてきた。

 その思いを引き継ぐ意思の表れだろう。陛下も「過去を顧み、深い反省の上に立って」と明言された。「再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い」というお言葉は、すべての国民に向けられたものである。

 戦後生まれが8割超を占める今、私たちも世代を超えて「不戦の誓い」を新たにしたい。

 先の大戦での日本の戦没者は約310万人に上る。沖縄戦や広島、長崎の原爆投下、全国の空襲などで亡くなった民間人約80万人も含まれている。

 これらはアジア・太平洋地域への無謀な軍事侵攻がもたらした結果だ。悲しいことに、戦後74年がたっても遺骨約112万柱が帰還を果たせていない。

 傷痕は今なお深く、遺族の悲嘆も癒えてはいない。戦争が庶民を苦しめた歴史を改めて胸に刻む必要がある。

 忘れてならないのは、アジア諸国の犠牲者が2000万人とされていることだ。

 村山富市首相以降の歴代首相は式辞で日本の加害責任に言及してきた。安倍晋三首相も第1次政権時には「多大の損害と苦痛を与えた」と述べたが、第2次政権発足後はそうした表現を使わなくなった。

 今回も首相は日本の戦没者の数だけに触れ、犠牲者への「敬意」と「感謝」を強調した。それでは「二度と繰り返さない」という首相の言葉も他国に十分伝わらないのではないか。

 韓国では日本からの植民地解放を記念する式典が開かれ、文在寅(ムンジェイン)大統領が「日本が隣国に不幸をもたらした過去」に言及した。元徴用工の補償を巡る韓国政府の対応は全くの筋違いだが、背景に歴史認識に関する対立があることも事実である。

 国際社会と力を合わせて未来を切り開くには、「不戦の誓い」を共有するための対話を地道に重ねていくしかない。

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