社説

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 2019年版の情報通信白書は、これまで裏方とみられてきた情報通信技術(ICT)部門を中核に据え、既存の事業モデルからの変革を図るよう企業に求めている。

 米国ではグーグルやアマゾンなど「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業群が席巻し、同じような企業が中国にも出現している。一方、日本企業はまだその域に達していない。

 スマートフォンの普及や会員制交流サイト(SNS)利用者の増加など、目に見える形でデジタル経済は拡大を遂げた。今後もさらなる成長は確実なだけに、日本がその果実を取り込むすべを考える必要がある。

 白書は平成時代を振り返り、日本企業のICT投資が欧米に比べ低迷していたと指摘する。

 一因に挙げるのは、情報システムの構築を多くの企業が中核業務と位置付けなかった点だ。外部委託が進み、自社開発を怠った。さまざまなノウハウが蓄積されないのでは、斬新な製品やサービス開発は困難だ。

 ICT機器についても、円高による海外生産シフトや外国産機器の普及などで、13年からは輸入超過が続いている。

 長年の外部頼みの結果だろう。近年、深刻なのはICTを活用して成長や発展を担える人材の不足だ。

 白書では、量だけでなく質の面でも人材が不足し「高齢化が進んでいる」と分析している。その上で、合併・買収(M&A)やベンチャー投資、テレワークや副業・兼業の推進といった働き方改革、大学での学び直しなどを挙げる。いずれも一足飛びの実現には課題が多い。

 白書はデジタル経済がさらに進化するとし、地方でもビジネスの機会は大きいと述べる。その実現には、第5世代(5G)移動通信システムなどのインフラ整備やデータの活用に加え、人材が不可欠だ。

 すでに大企業や都市部では人材の囲い込みが始まり、地方企業は悲鳴を上げている。兵庫県立大が今年4月に社会情報科学部を新設するなど大学側も育成に力を入れ始めたが、緒に就いたばかりだ。

 国も育成に積極的に関わらなければ、白書が説くデジタル経済の姿は絵に描いた餅と化す。

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