社説

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 認知症による行方不明者が年々増えている。中には事故やトラブルに巻きこまれ、命を落とすケースもある。

 徘徊(はいかい)し迷っても速やかに発見され、住まいに戻れるよう、地域ぐるみの見守り体制の充実を急がねばならない。

 2018年に認知症か、その疑いが原因で行方不明になり、警察に届け出があったのは過去最多の1万6927人で、前年に比べ1064人増えた。

 統計を取り始めた12年(9607人)の1・76倍に急増している。都道府県別では大阪が最多の2117人で、兵庫が3番目に多い1585人だった。

 昨年中に所在確認できなかったのは約200人だった。17年以前の届け出分も含めると、昨年1年間で事故に遭ったり路上で衰弱したりし、死亡が確認されたのは508人に上った。

 25年には団塊の世代が75歳以上となり、認知症の高齢者は推計で700万人に達する。

 政府は今年6月にまとめた認知症対策新大綱で「予防」の重点化を打ち出した。だが認知症の人は今後も増加が見込まれる。不明者の早期発見に向けた対策強化は喫緊の課題だ。

 自治体や警察による捜索では夜間や市域を超えた対応の難しさが指摘される。注目されるのが情報通信技術(ICT)を使った見守りシステムで、兵庫県内の自治体でも導入が進む。

 芦屋市の「みまもりあいプロジェクト」は、対象者の衣類などに連絡先とIDを記したステッカーを張る。捜索が必要なときは家族らが、スマートフォンに専用のアプリを入れた協力者に不明者の特徴などの情報を発信する仕組みだ。

 当事者の個人情報を保護しつつ、住民らが捜索・発見に協力できる。市は家族らの登録費用を補助し、市民にはアプリの無料ダウンロードを呼び掛ける。

 こうしたシステムが効果を上げるには、協力者となる住民をどう増やしていくかが鍵となる。過去には警察官や住民が認知症の行方不明者と接触しながら認知症と気づかず、命を落とした事例もあった。

 認知症は誰もがなり得る。一人一人が日ごろから知識と理解を深め、気になる人を放っておかない社会にしたい。

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