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 中国本土への容疑者引き渡しを可能にする香港の「逃亡犯条例」改正案に端を発した抗議活動が、激しさを増している。住民らによるデモは拡大を続け、観光客が大幅に減少するなど経済活動にも影響が出始めた。

 懸念されるのは、中国の習近平指導部が香港に隣接する広東省深●に武装警察の部隊を駐留させ、強硬的な対応をちらつかせていることだ。

 武力介入に踏み切れば、高度の自治を保障する「一国二制度」は崩壊する。民主化を求める学生らを弾圧した30年前の天安門事件の二の舞いになり、絶対に許されない。

 仮に力で抑え込めたとしても、その代償に国際社会から痛烈な批判を浴びる事態となる。そのことを中国政府は認識しなければならない。

 改正案の撤回や警察の「暴力」停止などを求めて18日に実施された集会とデモの参加者は、主催者発表で計約170万人にのぼった。6月16日の約200万人に匹敵する規模だ。

 改正案の事実上の廃案を表明しながらも、決して撤回しようとしない香港政府トップの林鄭月娥(りんていげつが)行政長官に、住民が怒りや不満を突き付けている。

 香港警察は抗議活動鎮圧のたびに催涙弾やゴム弾を多用し、多数のけが人が出ている。国際空港のロビーを占拠して多くの便を欠航させるなど、デモ隊側にも自制すべき点はあるが、力ずくで抑え込もうとするのでは解決の糸口は見いだせない。

 香港はニューヨークやロンドンに次ぐ国際金融都市だ。中国が香港を通じて多くの経済的利益を得てきたのは、世界に開かれた自由な都市だったからである。武力介入でその特質が失われれば、中国も大きな損失を被ることになるだろう。

 最近まで静観していたトランプ米大統領は、天安門事件のように中国当局が振る舞えば、米中貿易協議での取引も難しくなるとの考えを示した。習近平国家主席は他国の警告に真剣に耳を傾けるべきだ。

 香港の民主派団体は、今月31日にも抗議活動を予定している。最悪の事態を避けるため、林鄭氏は改正案を完全撤回した上で、住民と対話することから始めなければならない。

(注)●は「土」の右に「川」

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