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 2020年度末で設置期限を迎える復興庁が、その後も存続する見通しとなった。

 与党が東日本大震災からの復興加速に向け、安倍晋三首相に申し入れた。政府は提言に沿って年内に基本方針をまとめる。政権として引き続き最重要課題に位置付け、取り組む姿勢を打ち出す狙いがある。

 20年度末には政府の「復興・創生期間」が終わるが、被災地では今も約5万人が避難生活を送っている。原発事故に見舞われた福島県は帰還困難区域の除染など重い課題を抱え、津波被災地の岩手、宮城両県でも被災者の生活再建やインフラ整備などに国の後押しが欠かせない。

 被災地の実情を理解し、予算や施策を組み立てる復興の司令塔役が今後も必要なのは言うまでもない。被災地から安堵(あんど)の声が上がったのは当然だろう。

 ただ、それだけでいいのか。

 復興庁は今も首相直属の機関として省庁の上位に位置付けられている。だが実際は、各省庁からの出向者の寄せ集めで、ノウハウの継承や司令塔機能に課題がある。組織を存続するなら問題点を検証し、機能を強化する具体策を示すべきだ。

 残念なのは、予想される南海トラフ巨大地震や首都直下地震に備え、国の防災機能をどう強化すべきかという重要な議論が置き去りになったことだ。

 政府は3月の復興基本方針見直しで、復興庁の後継組織設置を明記した。新組織の枠組みや機能を巡り、与党内では内閣府の外局に位置付けるなどの案が取りざたされた。全国知事会は、防災から復興までを一元的に担う「防災省」創設を提唱している。後継組織を福島に移転する案も一時浮上した。

 これらの案は本格的に検討されないまま、一転して現状維持で決着した。唐突な方針転換に映るが、実は7月の参院選での争点化を避けるため、存続方針の公表を選挙後に遅らせたとの見方もある。新組織の議論に期待した有権者を欺いたことになるのではないか。

 国民の生命と財産を守るのは国の責務である。復興庁の存続にとどまらず、防災省の創設を含め、災害多発国にふさわしい防災・復興体制のあり方の議論を深めねばならない。

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