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 元徴用工問題などの歴史問題に端を発した日韓の対立は、一段と深刻さを増している。

 韓国政府は、日本と結んでいる軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると発表した。11月に協定が終了すれば、日韓両国は通商分野にとどまらず、安全保障でも重要な情報のやりとりがとどこおり、背中を向け合う形になる。

 歴史的にもつながりの深い隣国の関係としては不正常というしかない。どちらの政権も引くに引けない状況に陥っており、亀裂は広がるばかりだ。

 ここは矛をいったん収めて、対話による解決を模索すべきである。両国政府は冷静に話し合える環境づくりに知恵を尽くさねばならない。

 GSOMIAは、軍事上の機密情報を共有する協定だ。日本は韓国と2016年に締結し、北朝鮮のミサイル発射の際などに情報を交換してきた。

 協定が破棄されれば、日韓は米国を介して情報を得るしかない。北朝鮮や中国、ロシアを利する恐れがあり、米国は「失望」と「懸念」を表明した。

 日本側も韓国に抗議し、再考を求める考えを示している。だが韓国に対する輸出規制強化は実行する方針だ。日本の措置に反発する韓国はいっそう態度を硬化させるのではないか。

 憂慮するのは、どちらの政権も「嫌韓」「反日」の感情をあおるような対応を繰り返していることだ。事態をこじらせた政治の責任は極めて重い。

 もともとは日本企業に元徴用工への賠償を命じた韓国の最高裁判決が投げ掛けた問題だ。決着を日本に委ねる文在寅(ムンジェイン)政権の姿勢に、日本が反発した。

 一方の安倍政権は、韓国への輸出規制を「対抗措置でない」とする。しかし「安全保障上の貿易管理」を理由にしたことで逆に「安保協力環境に重大な変化をもたらした」と協定破棄を持ち出される展開になった。

 「目には目を」の応酬は不信感を募らせる。これ以上の対抗手段は避けるべきだ。

 日本の植民地支配にさかのぼる歴史問題は、丁寧に糸をほぐしていくしかない。双方が相手国に向けた措置をしばらく棚上げにし、対話の雰囲気を醸成する努力を重ねる必要がある。

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