社説

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 来年の東京五輪・パラリンピックを想定した各競技のテスト大会で、猛暑による体調不良を訴える選手が続出している。熱中症の疑いから救急車で搬送されるケースもあり、身の危険を感じて会場や競技時間帯の変更を求める声が相次ぐ。

 指摘されてきたように、真夏の東京が選手に極めて過酷な環境であることが明白となった。選手たちの警鐘に耳を傾け、徹底的に運営を見直すべきだ。

 競歩の選手は、皇居周辺のコースに日陰がほどんどないとして再考を求めた。馬の異変を感じた馬術の選手は「人も馬も危ない暑さ」と危機感を抱く。ボートやビーチバレーなどでも不安の声が上がる。

 特に深刻なのは、トライアスロンや水泳オープンウオーターの選手が泳ぐ東京湾の環境だ。高水温に加え、水質のひどさが改めて確認された。

 「トイレの臭い」「濁りがすごくて手が見えない」と選手が訴え、水質が最悪の「レベル4」で中止になる日もあった。

 東京都の下水道が、汚水と雨水が合流する古いタイプであることに根本的な原因がある。大雨が降ると、会場周辺には処理が十分でない汚水が流れ込む。

 検査でふん便性大腸菌などの数値が基準の140倍以上になったこともあり、会場にふさわしくないと指摘されていた。水中スクリーンを3重にして流入防止する方針だが、有効性が保証できないなら会場の変更も柔軟に考えるべきだ。

 猛暑対策として、多くの競技で開始時間の前倒しが検討されている。懸念されているのは運営ボランティアの健康に及ぼす影響だ。

 組織委の検討委員会は、前日に終電で会場入りさせて士気を高め、早朝から従事させる方針を示している。睡眠不足が熱中症の要因であることは常識であり、リスクを高める恐れがある。仮眠場所を十分に確保するなど、待遇改善は最低条件だ。

 「競技に最適な気候」「アスリートファースト」などとPRして東京五輪は誘致された。認識の甘さから生まれた矛盾に向き合わず、選手やボランティアに犠牲を強いる。そんな無理な運営を通そうとするなら、東京五輪の評価は地に落ちる。

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