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 日米両政府が貿易交渉の大枠で合意し、安倍晋三首相とトランプ大統領は9月下旬に新協定の署名を目指す意向を示した。4月の協議入りから半年足らずでの最終決着となりそうだ。

 日本は牛肉や豚肉など米国産農産物の関税を環太平洋連携協定(TPP)水準に引き下げる。一方で米国は日本が求めた自動車の関税撤廃を見送る。日本からの工業製品の関税撤廃なども盛り込まれたが、首相が掲げる「ウィンウィン(相互利益)」とは受け止めがたい。

 これでは米国が日本に迫ってきた包括的な自由貿易協定(FTA)とどこが違うのか。

 トランプ氏の最優先課題は来年の大統領選再選だ。日本政府は成果を急ぐ米政権に花を持たせ、傷が浅いうちに交渉を終えたかったのだろう。しかし米国が他国と進めた通商交渉の経緯を見れば、土壇場でハードルを上げてくる懸念は消えない。

 政府は輸入増で大きな影響を受ける農業者や関連業界への対策を急がねばならない。米国には、さらなる譲歩は不可能であると明確に伝えるべきだ。

 米国は4年前、TPPに合意し、輸入車関税の25年後の撤廃などを決めていた。だが自国第一主義を掲げるトランプ政権の誕生でTPP脱退を決め、赤字を減らすため日本に2国間交渉を迫った経緯がある。

 トランプ氏は当初、自動車の関税撤廃どころか引き上げをにおわせ、農産物関税もTPP水準を上回る引き下げを求めていた。最初に高い目標を示して妥協を迫る「ディール(取引)」に押し込まれた感が否めない。

 関税引き下げの具体的な品目などは明らかになっておらず、両国政府は今後、細部を詰める。米国側が一方的に有利な展開にならないよう、政府は強い姿勢で臨む必要がある。

 一方、首相は民間を通じて飼料用の米国産トウモロコシ約250万トンを買う方針も示した。米国の農家は貿易摩擦のあおりで中国向け輸出がふるわず、トランプ氏の要請にこたえた。

 国内での害虫発生を理由とするが、引き受けるのは民間企業だ。日本が米国の強硬姿勢の尻ぬぐいをすることにもなり、首相は合意に至った理由を国民に詳しく説明すべきである。

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